第4話 チハルVSヴェレ

「そこの木に向かって撃ってみて」


 木に向かって、火を撃ってもいいのかなと思いながら撃ってみる。


「ファイアーボール!」


 名前がそのまま過ぎることにツッコミを入れようとしたら、小さい火の玉が出てきて、真っ直ぐ飛んでいった。


「本当に初めて?なかなか上手いね」


 大人しそうな可愛い子に褒められるとなんか嬉しいよね。あれ?普通に木、燃えてるけど大丈夫なん?


「あ、燃えちゃった。んーどうしよ……あ、ウォーターガン!」


 ヴェレが燃えてる木に向かって杖を振る。ウォーターガンという技を撃ったことにより完全に消火された。よく考えたら、ウォーターガンって水鉄砲っていう意味なのに、凄い技だな。


「ヴェレって他にどういう魔法、使えんの?」


 気になったので聞いてみる。


「水属性と風属性だけど、まだ私も未熟なんで、全然使えないんですけど」


 なんかヴェレって凄い強そうな雰囲気だけど違うんだ。


「あ、そういえば、ユウナの隣にいる方は、どういう魔法が使えるんですか?」


 チハルのことか。そういえばチハルとヴェレ、まだ話してないもんな。


「私はチハルって名前。魔法は使えないけど、私は吸血鬼なんだ」


 そう言って、チハルは血剣をヴェレに向ける。え?何やってんのこいつ。


「お前さぁ……さっきから馴れ馴れしく、ユウナと話さないでくれる?」


 チハルがヴェレに血剣を振りかざす。ヴェレがどうにか避ける。え?本気で殺そうとしてない?大丈夫?


「え?戦うの?じゃあ、相手してあげる」


 ヴェレが水を球体にして手の上に浮かせて威嚇する。ヴェレまで戦う気じゃん、どうすんのこれ?


***


 私からユウナを奪おうとしている女を殺すために戦う。右手に力をいれて血剣を生み出し、ヴェレの方に駆ける。


「ウォーターウォール!」


 水の壁が多く生成されて、私の行く手が塞がれる。隙間を見つけて、そこを通り抜ける。その先には、ヴェレがいた。血剣がヴェレの右肩をかすり、痛そうな顔をしている。


「ウインドバインド!」


 あれ?動けない。もしかして縛られた?そうか、これは縛る技なのね。となると、このタイミングで攻撃してくる……。


「ウォーターガン」


 予想通り、水が勢いよく飛んでくる。避けれないと思われているだろうし、避ける。そうすれば隙も生まれるはず。


「ヘイズ」


 私は霧になって消える。そしてヴェレの後ろに周り込む。


「ブラッドサッキング」


 ヴェレの首筋から血を吸い力を奪う。ユウナの血より美味しくなかった。ヴェレが倒れた……これでトドメだ!ヴェレに血剣を向ける。


――突然、ユウナが飛び出してきた。

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