第3話 ヴェレとの出会い

 橋を渡ると、そこは街だった。まるで昔のヨーロッパの街のような風景だ。そして周りは高い柵で囲われている。


「なんか街に着いたけど、どうする?」


 街の人たちが私たちを異質なもののように見てくる。


「おい!貴様ら、王様がお呼びだ」


 中年の細身のおじさんに声を掛けられる。王様!?もしかして私たち、怪しくて処刑される?


***


「王様!怪しい者を連れてきました」


 やっぱり私たち、怪しいと思われていたんだ。80歳ぐらいの王様がゆっくりと口を開く。


「……お主ら、転生者ではないか?」


 え?なんで分かったん?私たちは、驚いて硬直していた。


「おっと、驚かせて済まない。実はな……昔にもこの世界に転生してきた者が何人かおって、お主らにはあの女と同じ雰囲気を感じたんじゃ」


 私たちは素直に転生者だと告げる。


「ほう。ならば、やはり目的は魔王討伐か。……この王国の平和のためにも是非頼みたい。だからお主に、この魔法剣を授ける。今日からお主が勇者だ」


 王様の手下っぽい人が魔法剣と言われる剣を差し出してきた。この剣、持てば魔法を使えるのかな。持って素振りしてみる。


「は?魔法使えないじゃん」


「魔法を唱えなきゃ、使えないのじゃ」


「どんな魔法唱えなきゃいけないの?」


「ワシも知らんのじゃ」


「おい!王様!?」


「その辺の魔法使いに聞けばいいのじゃ。確かここから右の方に少し行けばヴェレという魔法使いの家があったはずじゃ」


 なんか変な王様だったな。とりあえず魔法使いの家に行けばいいのか。魔法剣を鞘にしまって向かう。


***


 ここが魔法使いの家、なんか黒くていかにも怪しい雰囲気の家だ。ノックしてみる。


「すみませーん!」


 すぐに返事があった。出てきたのは大人しそうで150cmぐらいの小柄な少女だった。


「ねえ、君。ヴェレって人、知らないかな?」


 ちっちゃい子に話しかけちゃったけど、これって声掛け事案にならないかなと思いながらも声をかける。


「私がヴェレですけど……何か用ですか?」


 え?この子がヴェレ?魔法使いっぽい帽子とローブを着て、杖持ってるけど……


「ユウナと言います。魔法の唱え方を教えてほしくて、訪ねに来ました」


「あ、そういうことね。この魔道書に書いてある魔法を暗記したら、できるものは自然とできるようになるよ」


 言われた通りに必死に暗記する。なんとか火、氷、電属性の基礎を学んだ。


「じゃあ、試しに行こうか」


 そう言われ、近くの草原に向かった。


「この辺なら広いから、魔法を好きに使ってごらん」

 

 早速、魔法を使ってみることにした。

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