第5話 ピーマン抜きチンジャオロース

 その後、自宅に着くと、私は今日、出された課題に取り組む。


 基本、由紀美しか友達はおらずメッセージ交換で暇を潰すなどない。


 うん?


 リラリルが携帯ゲーム機で遊んでいる。


「お前は課題をしなくていいのか?」

「大丈夫、卒業したらニートになる」


 せめて家事手伝いぐらいの気の利いた返事が欲しかったぞ。私はリラリルを横目に教科書とノートを見ながら課題に取り込む。


……。


 解らない、明日の朝に美由紀に教えてもらうか。


「三崎、ご飯よ」


 台所から母親の声が聞こえる。丁度よかった、課題に飽きてきたところだ。


「リラリル、メシを食べるぞ」

「えへへへへ、お腹ペコペコだよ」


 リラリルと共に一階に降りると、そこにあったのは白飯とチンジャオロースである。緑色のピーマンにこんがり焼けた肉が食欲をそそる。


「えー、僕はピーマン食べられない」


 リラリルは頬を膨らめて抗議している。居候の身で贅沢な奴め!


「なら、私がそのチンジャオロースをいただく」

「僕に宅配ピザでも食べろと言うの?」


 むむむ、宅配ピザが幾らすると思っている!しかし、飢えさせる訳にもいかず。


 あああ、私が悪かった。渋々、チンジャオロースからピーマンをぬく作業に入る。


「ピーマンが入っていなければ問題なかろう」

「うむ、いい心がけだ。僕としては宅配ピザでも良かったか……」


 そんな会話の後、私は二人前のピーマンの入ったチンジャオロースを食べるのであった。

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