第3話 こんな時代でもブルマだよ。

 朝方、アラームが鳴る。あー今日も普通に高校に登校である。


 朝食の後、鏡に向かい寝ぐせを直していると。ふと、隣を見るとリラリルがそわそわしている。


 ここはコーヒーでも飲んで落ち着けと椅子に座らす。


 すると……。


「宅配便です」


 玄関から声が聞こえる、この早朝に何が届いたのだ?


「おー来た、来た」


 リラリルが嬉しそうに荷物を受け取るとダンボールを開ける。そこに入っていたのは高校の制服であった。ブレザーに紺のスカートである。


 しかし、嫌な予感しかしない。


 一緒に高校に登校すると言い出すに違いない。


「一緒に通うのか?」

「えげげげげ、クラスも同じにしといた」


 はーあ~。


 ため息しか出ない答えであった。そして、リラリルが制服に着替えると。見た目は可愛い女子高生である。


 これから毎日一緒に登校できると思うとドキドキする。


 そんな事を考えながらリラリルの支度を見ていると。スクールバックにナイフを入れようとしている。


 私が注意するか迷っていると。


 リラリルはナイフを抜刀する、ナイフだが抜刀の表現があっていた。


 輝く刃先は切れ味がよさそうだ。


「支度ができたぞ、出発するか?」


 結局、ナイフを容認して二人で家を出るのであった。


 その後、高校の昇降口に着くと。私の靴箱の隣に新品の上履きが置いてある。


「なあ?本当に同じクラスなのか?」


 疑問に思いリラリルに問うてみる。


「見ればわかるだろ、223ホームの下駄箱だ、この上履きは先生に頼んで学校に直接備品を配達してもらって、ここに並んでいるのだ」


 あああ、確かに平和過ぎて物足りない学園生活だが、クビになった天使と、ここまで一緒にいていいのだろうか?


 平和主義者に御加護が降りたと思って諦めるか。そして、二限の体育の時間である。


 久しぶりに男女混合の授業だ。そこに現れたのは体操服に紺色のブルマ姿のリラリルであった。このハーフパンツの時代にブルマである。


 勿論、男子の注目の的である。

確かに女子がハーフパンツでないといけない校則はない。体育の授業が始めるとグランドを男子が女子をお姫様抱っこで走る内容だ。


 当然、リラリルが私のパートナーだ。


「えへへへへ、お姫様だよ」

「イラン事を言うな」


 などと、していると授業が始まる。グランドを端から端までを走りきったのは。


 私とリラリルのペアだけであった。


 男女混合なのでどちらかが拒絶してリタイアしたのだ。男子から拒絶する組もあり情けないかぎりである。


「三崎君、カッコいいな」


 うん?


 何処からか聞こえてくる言霊に私は耳を疑う。


 底辺高校生がモテるだと。これは伝説のモテ期か?


 そこに現れたのは幼馴染みの由紀美であった。


「これは何かの間違いよ。きっと、悪魔に取り憑かれたに違いない」


 由紀美は何処からかロープを取り出して、私をグルグル巻きにして旧喫煙室に連れ込む。


「今から、悪魔祓いの護摩焚きを行います」


 そう、由紀美は町のお寺が生まれなのだ。神社に生まれた私とは何かと相性が良く。幼馴染みとして育った。


 イッツファイア!


 牧に火が灯り由紀美は御経を唱え始める。そして、護摩焚きが終わると……。


 由紀美は職員室に連行される。旧喫煙室とは言え無断で護摩焚きをしたからだ。

とにかく、教室に戻ろう。


 私は教室に戻ると制服姿のリラリルが待っていた。


「あの、由紀美なる女子、危険だったわ、あわゆく浄化されるところだったわ」


 やはり、リラリルは悪霊の類かと思うのであった。

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