第27話灼熱の王との死闘 - 絶望への序章

灼熱の王の登場


扉を開けた瞬間、凄まじい熱風が俺たちを襲った。その先に広がる空間は、全てが溶岩で覆われた巨大なホール。天井から滴る溶岩が赤い光を放ち、空気自体が歪んでいるように見える。


「......ここが最深部か」


俺が咳いたその時、奥から不気味なうなり声が響いた。揺れる空気の中から、巨大な影がゆっくりと姿を現す。


「な、なんだあれ......」


リーナが恐怖に満ちた声を漏らす。そこに現れたのは、全身を炎で包まれた龍のようなモンスター。灼熱の王――その名にふさわしい圧倒的な存在感が辺りを支配していた。


「これが......最後の敵ね」


アリサが剣を構え、俺たちは全員で戦闘態勢に入った。だが、その威圧感に足が震えるのを感じる。


灼熱の王の猛攻


「来るぞ!」


灼熱の王が咆哮を上げると同時に、巨大な炎の弾を吐き出してきた。俺たちは散開してそれを避けるが、その衝撃で地面が揺れ、溶岩が飛び散る。


「くっ.....!」


俺はなんとか体勢を整え、王の足元を目指して剣を振り下ろした。しかし、その硬い外殻は簡単には傷つかない。


「こんなの......どうやって倒せばいいんだ!?」


「弱気にならないで!全員で連携するわよ!」


アリサが冷静に指示を出し、俺たちはそれぞれの役割を果たし始めた。リーナが魔法で注意を引きつけ、サラが大剣で隙を作る。アリサと俺がその隙を狙って攻撃を仕掛けるが、王の反撃が予想以上に激しかった。


絶望的な力


「まだまだよ.....!」


サラが力強く大剣を振り下ろし、灼熱の王の片足に一撃を加えた。その瞬間、王が再び咆哮し、全身から炎を噴き上げた。


「うわっ.....!」


熱波に吹き飛ばされ、俺たちは地面に叩きつけられる。防御魔法が間に合わなかったリーナが息を切らしながら立ち上がる。


「ダメだ.....全然通じてない......」


「そんなこと言わないで!まだ諦めるのは早いわ!」


アリサがリーナを励ますが、状況は厳しかった。炎をまとった外殻が攻撃を弾き返し、俺たちは次第に追い詰められていく。


仲間の負傷


「やらせるもんですか.....!」


サラが果敢に王の頭部を狙うが、その炎の尾が彼女の脚を弾き飛ばした。サラが地面に転がり、膝を押さえて苦しそうに呻く。


「サラ、大丈夫か!?」


俺が駆け寄ると、彼女は悔しそうに歯を食いしばった。


「くっ.....膝が......くそっ、動けない.....!」


サラの脚には火傷が広がり、膝の動きが明らかに鈍っている。リーナがすぐに回復魔法を使うが、彼女の体力も限界に近い。


「これ以上は......もう......」


リーナが弱々しい声を漏らす。アリサも眉を寄せながら息を荒げている。


レイの奮闘


「俺がやる!」


俺は一人で王に向かって駆け出した。自分の攻撃が通じるとは思えないが、少しでも仲間の負担を減らしたかった。


「これでどうだ!」


剣を振り下ろし、王の足元に一撃を加える。すると、わずかだが炎の隙間から黒い外殻が見えた。


「通じる.....!」


その一瞬の希望を胸に、俺はさらに攻撃を続ける。だが、その時、王が体を震わせ、巨大な火柱を放った。


「レイ、危ない!」


アリサの声が響いた瞬間、俺は火柱に巻き込まれた。熱と衝撃が全身を襲い、視界が真っ白になる。


死の淵


気づけば、俺は地面に倒れていた。意識が遠のきそうになる中、仲間たちの声が聞こえる。


「レイ!しっかりして!」


リーナが涙を浮かべながら俺の体を揺さぶっている。その隣でアリサが必死に指示を出していた。


「リーナ、回復魔法を!今すぐ!」


「でも、私の魔力がもう.....!」


「諦めないで!レイがいなきゃ、私たちはもう戦えない!」


リーナが震える手で魔法を唱え、俺の体に光が降り注ぐ。だが、それでも体の痛みは消えず、動けない。


「俺.....まだ、戦える.....!」


必死に立ち上がろうとするが、力が入らない。その時、サラが俺の肩を掴み、低い声で咳いた。


「無茶しないで.....あんたが死んだら、どうするのよ.....!」


彼女の声には、いつもの強気とは違う、本当の不安が滲んでいた。その言葉に、俺は少しだけ笑みを浮かべた。


「大丈夫.....まだ、終わってない.....」


エンディング - 崩れかける希望


「ここまで追い詰められるなんて.....でも、まだ諦めないわ」


アリサが剣を握り直し、最後の力を振り絞る。その姿に、俺たちは再び立ち上がる決意をした。


灼熱の王が再び咆哮し、最後の攻撃を仕掛けてくる。その絶望的な力を前に、俺たちは必死に抗う。


「絶対に負けない.....!」


俺たちは立ち向かうが、その攻撃の激しさに次第に押されていく。最後の一撃が王から放たれ、俺たちは崩れ落ちた。


次回予告


第28話では、絶望の中から仲間たちが再び立ち上がり、灼熱の王との最終決戦に挑みます。最後の奇跡が生む勝利にご期待ください!​​​​​​​​​​​​​​​​

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