第25話炎の巨人との死闘
巨人の目覚め
洞窟の奥へ進むと、空気がさらに熱を増し、溶岩の流れる音が耳に響く。道が広がり、巨大な空間が姿を現した。
「……ここ、何かいるわね」
アリサが剣を握りしめ、鋭い目で周囲を警戒する。その言葉に全員が足を止めた。
「まるで……誰かに見られてるみたい」
リーナが怯えた声で呟く。その瞬間、地面が揺れ、大地の裂け目から真っ赤な光が溢れ出した。
「来るぞ!」
俺が叫ぶと、洞窟の奥から巨大な影が姿を現した。それは全身を炎で包まれた巨人だった。溶岩で作られたような体が鈍い輝きを放ち、その目は燃え盛る炎そのものだ。
「炎の巨人……あれがボスね」
アリサが冷静に剣を構え、俺たちはその威圧感に飲まれそうになりながらも戦闘態勢に入った。
巨人の一撃
「気をつけて!巨人の動きは遅いけど、一撃が重いわ!」
アリサが声を張り上げ、全員に指示を出す。サラが大剣を構え、巨人の足元に一撃を加えるが、その攻撃は表面をかすっただけだった。
「硬い……!このままじゃ切り裂けない!」
サラが歯ぎしりしながら叫ぶ。巨人はゆっくりと腕を振り上げ、地面に叩きつけた。その衝撃で周囲の岩が砕け、俺たちは吹き飛ばされそうになる。
「くっ、こんなの……!」
俺が剣を握り直し、再び巨人に向かおうとしたその時、リーナが叫び声を上げた。
「後ろから来るよ!」
巨人の体から炎の塊が放たれ、俺たちを焼き尽くそうとする。アリサが素早く盾を構え、炎を防ぎきる。
「リーナ、援護をお願い!」
「うん、やる!」
リーナが杖を構え、巨人の腕に向かって氷の魔法を放つ。炎に包まれている巨人にはそれほどの効果はないが、一瞬動きを鈍らせることに成功した。
苦戦と負傷
「サラ、今のうちに足元を攻撃して!」
アリサが指示を飛ばし、サラが巨人の足元に大剣を叩きつける。硬い音が響き、わずかに巨人の体が揺れた。
「これでどうだ!」
サラがもう一撃を加えようとしたその瞬間、巨人の炎の腕が彼女を弾き飛ばした。
「サラ!」
俺が叫ぶと、サラは地面に叩きつけられながらも立ち上がろうとする。その肩には深い火傷があり、苦しそうな表情を浮かべていた。
「まだ……やれるわよ……!」
サラが無理をして立ち上がろうとするが、アリサがそれを制止する。
「無理しないで!レイ、サラを回復して!」
「わかった!」
俺は急いでサラに駆け寄り、リーナの回復魔法を手伝った。サラは少しだけ表情を緩めながら、悔しそうに唇を噛む。
反撃の糸口
「このままじゃ勝てない……何か方法を考えないと」
アリサが焦りを隠せない様子で呟く。その時、リーナが小さな声で提案した。
「巨人の体の炎……冷やせないかな?溶岩スライムの時みたいに……」
「冷やす……」
俺はリーナの言葉に思わず彼女を見つめた。確かに、巨人の炎を弱められれば、もっと攻撃が通るようになるかもしれない。
「リーナ、できるか?」
俺が尋ねると、彼女は緊張しながらも頷いた。
「やってみる!みんな、巨人の動きを止めて!」
決死の連携
アリサが盾を構えて巨人の攻撃を受け止め、サラが力を振り絞って巨人の足元に攻撃を加える。その間、リーナは杖を構え、全力で氷の魔法を放った。
「今だ、止まれーっ!」
冷気が巨人の体を包み込み、その炎が一瞬だけ弱まった。その隙を見逃さず、俺たちは一斉に攻撃を仕掛ける。
「これで終わりだ!」
俺は剣を握りしめ、巨人の胸元に向かって突き刺した。その瞬間、巨人の体が大きく揺れ、炎が弾け飛ぶ。
勝利と代償
巨人が崩れ落ちる音が響き、洞窟内に静寂が訪れた。全員が息を切らしながら、その場に座り込む。
「……やった、勝ったのね」
アリサが小さく呟き、リーナが涙ぐみながら笑顔を見せた。
「私たち、倒せたんだね……」
「ふん、当然よ……でも、ちょっとだけ疲れたかも」
サラが冗談めかして言うが、その肩にはまだ火傷の跡が残っている。俺たちは互いの無事を確認しながら、少しだけ休息を取ることにした。
エンディング - 最深部への決意
「でも、これで終わりじゃないわね」
アリサが立ち上がり、奥に続く道を指差す。その先にはさらに険しい道が待っている。
「ここまで来たんだ。あとはやるしかないな」
俺がそう言うと、全員が頷き合った。リーナも少し元気を取り戻し、立ち上がる。
「次は絶対に足を滑らせないから!」
彼女の決意に、俺たちは自然と笑みを浮かべた。そして、次の試練に向けて再び歩き始めた。
次回予告
第26話では、洞窟の最深部への進行が描かれます。危機感と緊張が高まる中、次の試練が彼らを待ち受けています。果たして彼らはこの過酷な冒険を乗り越えることができるのか?
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