第24話溶岩の湖 - 命を賭けた選択

分岐点にて


「……道が二つに分かれているわね」


洞窟を進む途中、俺たちは大きな分岐点に立たされていた。一方の道は暗く狭く、何が待っているのか全く見えない。もう一方の道は明るく広いが、奥には赤く輝く溶岩の湖が広がっている。


「どっちに進むべきかな……」


リーナが心配そうに呟く。サラは溶岩の湖を指差しながら、不満げに口を開いた。


「私はあっちの道は嫌ね。溶岩なんて、見てるだけでうんざりするわ」


「でも、狭い道の方は罠が仕掛けられている可能性が高いわよ。視界が悪い上に何があるかわからないなんて、危険すぎる」


アリサが冷静に分析し、溶岩の湖を渡るルートを提案する。サラは不満そうな顔をしながらも、最終的にはアリサに従った。


「……仕方ないわね。で、どうやってあの湖を渡るつもり?」


溶岩湖を渡る作戦


「湖に浮かんでいる岩を足場にして渡りましょう」


アリサが指差す先には、溶岩湖の上にいくつかの大きな岩が浮かんでいた。それぞれが溶岩に浸かって熱せられているが、足場として使えそうだ。


「リーナ、魔法で岩を冷やすことはできる?」


「うん、やってみる!」


リーナが杖を構え、浮かぶ岩に向けて氷の魔法を放つ。岩の表面が白く冷やされ、立てそうな状態になる。


「この状態なら大丈夫そうね。でも、時間が経つとまた熱くなるから、急いで渡らないといけないわ」


「わかった。気をつけていくよ」


俺たちは一列になり、慎重に岩を飛び移りながら溶岩湖を進むことにした。


飛行モンスターの襲撃


途中、順調に渡り始めた俺たちだったが、突然上空から甲高い鳴き声が響いた。


「何か来る!」


俺が声を上げると同時に、溶岩湖の上を飛び回るコウモリのような飛行型モンスターが現れた。その体は赤黒く輝き、熱をまとっている。


「こいつら、厄介ね……!」


サラが大剣を構え、飛びかかってきたモンスターを迎撃する。一撃で仕留めるものの、敵の数が多く、次々と襲いかかってくる。


「リーナ、援護をお願い!」


「わかった!」


リーナが魔法を放ち、飛行型モンスターを一掃する。しかし、その攻撃に気を取られた隙に、彼女が足を滑らせてしまった。


リーナの危機


「リーナ!」


俺は叫びながら、彼女の腕を掴むために全力で飛び込んだ。リーナの体は溶岩の縁に滑り落ちかけており、俺が間一髪で腕を掴む。


「だ、大丈夫……?」


リーナが怯えた声で呟く。俺は必死に彼女を引き上げながら答えた。


「しっかり掴まってろ……!絶対に助ける!」


足場が揺れる中、何とかリーナを引き上げることに成功した。彼女を安全な足場に戻すと、俺たちはしばらく息を整える。


「ごめん、私……また足を滑らせちゃって……」


「気にするなよ。全員でここを渡り切ればいいんだ」


俺は彼女に笑顔を見せ、再び前へ進む決意を固めた。


最後の難関


溶岩湖の中央に差し掛かると、浮かぶ岩が一つ崩れ始めた。


「急いで渡って!」


アリサの声が響き、俺たちは一気に足場を飛び移り始めた。崩れゆく岩をギリギリで飛び越え、全員が無事に湖を渡り切った瞬間、全身から力が抜けた。


「もう……無理……」


リーナが座り込み、サラも大剣を地面に突き刺して休息を取る。


「全員、無事でよかったわ」


アリサが微笑みながら呟く。その言葉に、俺たちはようやく安堵の息をついた。


エンディング - 次なる道へ


「でも、これで終わりじゃないわね」


アリサが立ち上がり、奥に続く道を指差す。その先にはさらに険しい道が待っている。


「ここまで来たんだ。あとはやるしかないな」


俺がそう言うと、全員が頷き合った。リーナも少し元気を取り戻し、立ち上がる。


「次は絶対に足を滑らせないから!」


彼女の決意に、俺たちは自然と笑みを浮かべた。そして、次の試練に向けて再び歩き始めた。


次回予告


第25話では、洞窟内で出会う炎の巨人との死闘が描かれます。ご期待ください!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る