第23話灼熱の恐怖 - 溶岩スライムとの戦闘

進む先に待つもの


「熱気がどんどん強くなってる……」


洞窟を進むにつれ、空気がまるで体にまとわりつくように重くなっていた。耐熱装備をしているにもかかわらず、じっとしているだけで汗が滲んでくる。


「みんな、大丈夫?無理しないでね」


リーナが心配そうに俺たちを見渡す。サラは軽く肩をすくめながら答えた。


「こんなの、まだ余裕よ」


「でも、これが続くなら厄介ね。体力を消耗しすぎないように気をつけましょう」


アリサが冷静に判断を下す。俺たちは足元の溶岩の流れを避けながら慎重に進んでいった。


不気味な気配


しばらく進むと、道が広がり、大きな空間に出た。そこには溶岩が静かに流れ込み、ぽこぽこと泡を立てている。


「……ここ、何かいる」


俺は足を止め、全身の感覚を研ぎ澄ませた。何かが動いている気配がする。しかし、それがどこから来るのかまではわからない。


「気をつけて。動きがあったらすぐに対処するわ」


アリサが剣を抜き、俺たちもそれに倣った。その瞬間、溶岩の中から黒い塊がゆっくりとせり上がってきた。


溶岩スライムの登場


「な、なんだあれ……?」


リーナが驚きの声を上げる。目の前に現れたのは、溶岩をまとった巨大なスライムだった。表面がぐつぐつと煮えたぎり、溶岩が滴り落ちている。


「溶岩スライム……!触れるだけで火傷するわよ!」


アリサが警戒の声を上げた直後、スライムがぐにゃりと形を変え、溶岩を飛ばしてきた。俺たちは慌ててその攻撃を避ける。


「くっ……どこを狙えば効くんだ?」


俺が剣を構えながら呟くと、アリサが冷静に指示を出す。


「スライムの中心部分が弱点のはず!でも、溶岩が邪魔で近づけないわ!」


魔法が通じない


「じゃあ、私が魔法で攻撃するね!」


リーナが杖を構え、氷の魔法を放った。しかし、スライムは溶岩を巻き上げて防御し、攻撃はまったく通じなかった。


「うそっ!?全然効いてない……!」


リーナが驚きで声を上げる。溶岩スライムはその隙を突いて、彼女に向かって溶岩の塊を飛ばしてきた。


「リーナ、危ない!」


俺はとっさに彼女の腕を引き、攻撃を回避する。熱風が肌にまとわりつき、危険がすぐそばにあることを感じた。


「ごめん、私……魔法が全然通じないなんて……!」


リーナが悔しそうに唇を噛む。俺は彼女の肩に手を置いて言った。


「大丈夫だ。まだ方法はある。俺たちがなんとかするから、リーナはサポートに回ってくれ!」


近接戦での苦戦


アリサとサラがスライムに向かって攻撃を仕掛けるが、溶岩の熱で剣が弾かれ、近づくたびに火傷しそうになる。


「硬い……!こいつ、どうやって倒すのよ!」


サラが不満そうに叫ぶが、彼女の大剣が少しずつ溶岩をかき分け、スライムの中心に近づいていく。


「サラ、もっと正確に狙いを定めて!」


アリサが指示を飛ばしながら、自分も剣でスライムの防御を崩そうとする。しかし、その間にもスライムは溶岩を撒き散らし、俺たちをじりじりと追い詰めてきた。


決死の一撃


「このままじゃダメだ……!」


俺は剣を握りしめ、スライムの隙を見つけようとする。動きが鈍った瞬間を狙い、全力で剣を振り下ろした。


「これで……決める!」


剣がスライムの中心部に突き刺さり、赤黒い光が一瞬だけ走った。スライムはぐにゃりと崩れ、その場に溶けるように消えていく。


戦闘後の疲労


「ふぅ……なんとか倒せた……」


俺は息を切らしながら剣を下ろした。周囲を見ると、全員が疲れ切った表情を浮かべている。特にリーナは魔法が通じなかったことにショックを受けているようだった。


「リーナ、大丈夫か?」


俺が声をかけると、彼女は小さく頷いた。


「うん……ごめんね、もっと頑張らないと……」


「気にするなよ。今回は相手が特殊だっただけだ。次はきっとリーナの力が必要になる」


俺の言葉に、彼女は少しだけ笑顔を見せた。


エンディング - 道中での休息


俺たちはしばらく洞窟内の安全な場所で休息を取ることにした。熱気に包まれた空間で体力を回復させながら、次に備える。


「これからもっと大変になるかもしれないわね……」


アリサが呟き、全員がそれぞれの準備を整えながら頷いた。俺たちは再び前へ進む覚悟を決め、立ち上がった。


次回予告


第24話では、溶岩の湖を渡る試練と新たな選択を迫られる道中が描かれます。命を賭けた挑戦にご期待ください!

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