第19話最終模擬戦 - チームの真価

修行の締めくくり


「今日で修行の総仕上げをしましょう」


アリサが静かな声で告げる。俺たちは練習場の中央に集まり、最後の模擬戦に挑む準備をしていた。


「今回の相手は、高難易度の訓練用ボスよ。これまでの訓練の成果を存分に発揮してちょうだい」


練習場のスタッフによって設置された訓練用ゴーレムは、これまでのものとは段違いの大きさと威圧感を放っていた。その体は黒い甲殻に覆われ、両腕には鋭い刃が備えられている。


「こいつ、強そうね……でも、やるしかないでしょ」


サラが大剣を構えながら口元を歪める。リーナも少し緊張した様子で杖を握りしめていた。


「みんなで協力して勝つわよ。準備はいい?」


アリサが全員を見渡すと、俺たちは頷いて答えた。


「やるぞ……いや、やるわ!」


最初の攻撃


模擬戦が始まると同時に、ゴーレムが巨体を揺らしてこちらに向かってきた。その足音だけで地面が揺れるような迫力だ。


「リーナ、サポートをお願い!」


アリサが声を上げると、リーナがすぐに防御魔法を展開する。薄い光の膜が俺たちを包み、ゴーレムの初撃を耐え抜くことができた。


「すごい……リーナの魔法がこんなに頼もしいなんて!」


俺が感嘆の声を上げると、リーナは少し照れくさそうに笑った。


「まだまだこれからだよ!もっと頑張るね!」


アリサとサラが前に出て、ゴーレムの注意を引きつける。アリサの剣がゴーレムの足を狙い、動きを鈍らせようとするが、黒い甲殻が硬く、ダメージはわずかだ。


「硬すぎる……!」


「サラ、もっと強烈な一撃を!」


アリサが指示を出すと、サラが大剣を振り上げてゴーレムの腕に叩きつけた。鋭い音が響き、ゴーレムの片腕が動きを止める。


「やった……!」


「まだよ!油断しないで!」


アリサの声が響き、俺たちは再び構えを整えた。


攻撃の連携


ゴーレムは片腕を失ったにも関わらず、素早い動きで反撃してきた。その攻撃をかわしながら、アリサとサラが連携して攻撃を繰り出す。


「レイ、今だ!援護をお願い!」


アリサが叫び、俺は剣を握りしめてゴーレムの背後に回り込んだ。背中の隙間を狙い、一撃を放つ。


「これでどうだ!」


剣がゴーレムの隙間に入り込み、小さな爆発音とともに体が揺れた。その瞬間、リーナが魔法を放つ。


「いけぇーっ!」


青い光がゴーレムの頭部を直撃し、その体が大きく後退する。俺たちの連携が少しずつ成果を見せ始めた。


ピンチと突破口


だが、ゴーレムはさらに猛攻を仕掛けてきた。足元を叩きつけるような攻撃で地面を砕き、その衝撃波に俺たちは一瞬バランスを崩す。


「くっ……みんな、大丈夫!?」


俺が叫ぶと、アリサが素早く立ち上がり、剣を構え直す。


「大丈夫よ。でも、ここからが正念場ね」


サラも顔をしかめながら立ち上がり、ゴーレムに睨みを利かせた。


「ふん、これ以上やらせるもんですか!」


彼女は力強く大剣を振り上げ、ゴーレムの足元を狙って攻撃を繰り出す。その一撃が見事に決まり、ゴーレムの動きが一瞬止まった。


「今よ!全員で一気に畳み掛けるわ!」


アリサの号令とともに、俺たちは全力で攻撃を仕掛けた。サラの大剣がゴーレムの腕を切り落とし、リーナの魔法が体を焼き尽くす。そして最後に、アリサの剣がゴーレムの胸部に突き刺さった。


「これで終わりよ!」


勝利の喜び


ゴーレムが崩れ落ち、訓練場が静寂に包まれる。俺たちは息を切らしながらも、全員の顔に笑顔が広がっていた。


「やった……やったよ!」


リーナが歓声を上げ、サラも満足そうに剣を振り下ろす。


「まぁ、悪くない結果ね」


「みんな、本当にお疲れ様。これで次の冒険にも自信を持って挑めるわね」


アリサが優しく声をかけ、俺たちは互いの健闘を称え合った。


ハグの一幕


「レイちゃん、さっきの援護、すっごく助かったよ!」


リーナが駆け寄って抱きついてくる。その勢いに俺は一瞬固まってしまうが、彼女の無邪気な笑顔に思わず笑みを返す。


「う、うん。リーナのおかげで最後までいけたよ」


「それは私たち全員のおかげね。よくやったわ」


アリサも近づいてきて、俺の肩に手を置いた。その眼差しが優しくも力強く、胸が少し熱くなる。


「これからもっと頑張らなきゃな……!」


エンディング - 次なる冒険へ


「これで私たちも次の冒険に挑む準備が整ったわね」


アリサが笑顔で言い、全員が頷き合う。サラもリーナも、それぞれ満足そうな表情を浮かべていた。


「次はどんな冒険になるのかな?」


リーナが期待に満ちた声を上げる中、俺たちは新たな挑戦に向けて気持ちを一つにした。


次回作に続く

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