第18話サラの挑戦 - 力から精密さへ
サラの課題
「さて、今日は私の番ってわけね」
サラが大剣を軽く肩に担ぎながら、訓練場の一角に向かう。その表情にはいつもの自信に満ちた雰囲気があったが、どこか気負いのようなものも見え隠れしていた。
「サラ、今回の目標は精密な攻撃を磨くことよ」
アリサが冷静に言葉を投げかける。サラは軽く舌打ちしながらも、言葉を受け止めるように頷いた。
「精密さなんて面倒なだけよ。力で押し切れば済む話でしょ?」
「それだけじゃ通用しない場面があるわ。強敵相手ほど、一撃一撃を確実に当てることが重要なの」
アリサの言葉に、サラは渋々ながらも納得した様子で準備を整えた。
精密攻撃の練習
サラが挑むのは、訓練用のターゲットに精密な攻撃を当てる練習だ。ターゲットは複数あり、それぞれに小さな弱点ポイントが設定されている。
「簡単そうに見えるけど、これ、狙うのが難しいんだよね」
リーナが横で呟くと、サラはニヤリと笑って大剣を構えた。
「そんなの、力任せで当てればいいのよ!」
その言葉通り、サラは力いっぱい剣を振り下ろし、一気にターゲットを叩き割った。しかし、弱点ポイントには当たっておらず、訓練場のシステムが「失敗」のランプを点滅させる。
「なによ、これ!」
サラが不満そうに顔をしかめるが、アリサは冷静な声で指摘した。
「力任せで割るだけじゃ意味がないの。弱点を正確に狙わないと、実戦では通用しないわ」
「わかってるわよ……!」
サラは少し悔しそうにしながらも、再び大剣を構え直した。
動くターゲットへの挑戦
次に現れたのは、ゆっくりと動くターゲット。弱点ポイントが小さく、さらにランダムに移動するため、力を込めるだけでは当てられない仕組みだ。
「これなら当ててみせるわ!」
サラが剣を振り下ろすが、ターゲットの動きについていけず、剣先が空を切る。何度も挑戦するが、結果は変わらず、サラのイライラが募る。
「……なんでこんなに難しいのよ!」
彼女が声を荒げた時、アリサが優しく肩に手を置いた。
「焦らないで。ターゲットの動きをよく見て、力を抜いてみて。大剣は重い武器だから、全ての力を込める必要はないわ」
「力を……抜く?」
サラは戸惑いながらもアリサの言葉を思い返し、再び剣を構えた。
アリサの助言を受けて
アリサの指示通り、サラは剣を振り下ろす前に一瞬だけ深呼吸をした。そして、ターゲットの動きを観察し、弱点ポイントに集中する。
「今だ!」
剣が弱点を正確に捉え、ターゲットが光を放ちながら消滅した。サラは一瞬驚いた表情を浮かべた後、満足げに微笑んだ。
「……こんなやり方も悪くないわね」
「そうよ。それができるようになれば、実戦でも余裕が生まれるわ」
アリサが微笑みながら言うと、サラは少し照れくさそうに目を逸らした。
高速ターゲットへの挑戦
「じゃあ、次はこれでどう?」
リーナが訓練場の設定を切り替えると、次に現れたのは高速で動くターゲットだった。ターゲットの動きはさらに予測が難しく、弱点ポイントも一瞬しか見えない。
「……また面倒そうな相手ね」
サラがぼやきながらも剣を構える。その目は真剣そのもので、次の一撃に全力を注ぐ覚悟が伝わってきた。
「サラならできるよ!」
リーナが応援すると、サラは照れくさそうに「当たり前でしょ」と小さく呟いた。そして、ターゲットに向かって正確な一撃を繰り出し、見事に弱点を捉えた。
「やった……!」
サラの剣がターゲットを打ち砕き、訓練場に歓声が響く。
褒められての照れ隠し
「すごいよ、サラちゃん!完璧だったね!」
リーナが駆け寄り、満面の笑みでサラを褒める。アリサも優しく頷きながら言葉を添えた。
「本当に素晴らしいわ。これなら実戦でも問題なく戦えるはずよ」
「……ふん、当然でしょ」
サラはそっぽを向きながらも、耳まで赤くなっているのがわかる。その姿に、俺は思わず笑ってしまった。
「何よ、レイ。笑うんじゃないわよ!」
「いやいや、サラちゃん、ほんとすごかったから」
俺がそう言うと、彼女はさらに顔を赤らめながら「ふん」と鼻を鳴らした。
エンディング - サラの成長
「これなら次の冒険も楽しみになってきたわね」
アリサがそう言うと、サラは少し得意げに微笑んだ。
「まぁ、あんたたちの足を引っ張らないようにしてあげるわよ」
「またそんなこと言って~!」
リーナがからかうように笑う中、俺たちは次の冒険への期待を胸に、さらに訓練を続けることを決めた。
次回予告
第19話では、修行の最終段階として、全員で高難易度の模擬戦に挑みます。これまでの訓練の成果が発揮される熱い戦いをお楽しみに!
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