第17話リーナの挑戦 - 魔法の精度を高める訓練
リーナの課題
「今日の訓練は私がメインなんだよね!」
リーナが満面の笑顔で言いながら、杖を握りしめている。昨日の連携訓練でチームワークが良くなったものの、リーナ自身の魔法の精度にはまだ課題が残っていた。
「リーナの魔法がもっと正確になれば、私たち全員がさらに動きやすくなるわ」
アリサが優しく微笑みながら言うと、リーナはやる気に満ちた表情で頷く。
「うん!頑張るよ!」
「でも、相手が動いている時に当てるのは難しいわよ。あんたにそんな器用なことができるの?」
サラが少し挑発するように言うと、リーナは負けじと胸を張った。
「やってみなくちゃわからないもん!」
動くターゲットへの魔法訓練
訓練場の魔法練習エリアには、的として設定された動くターゲットがいくつも並んでいる。それぞれのターゲットはランダムに動き回り、予測が難しい。
「まずは静止している的を狙ってみましょう。そこから少しずつ動くターゲットに挑戦すればいいわ」
アリサのアドバイスを受け、リーナは静止した的に向かって魔法を放つ。青い光の球が杖の先から飛び出し、見事に的の中央に命中した。
「やった!簡単だね!」
リーナが自信満々に言うが、次に動くターゲットを指差したサラが冷たく言い放つ。
「じゃあ、次はこっちよ。動いてる相手にも当てられなきゃ意味がないでしょ」
リーナは少し緊張しながらも、動くターゲットに魔法を放つ。しかし、ターゲットは軽々と魔法をかわし、命中させることができなかった。
「えっ!?全然当たらない……!」
レイの支援
リーナが困った顔でうなだれるのを見て、俺はそっと彼女の隣に立った。
「リーナ、大丈夫だよ。焦らずにいこう」
「でも、動いてる的って本当に難しいよ……どうしたらいいの?」
俺は少し考えた後、彼女にアドバイスを送った。
「ターゲットの動きをよく見て、次にどこに行くかを予測してみるんだ。完全に当てなくても、狙う場所を少し前にずらしてみるとか」
「なるほど……じゃあ、もう一回やってみる!」
リーナは気を取り直して杖を構えた。ターゲットの動きをじっと観察し、次の位置を予測しながら魔法を放つ。しかし、またもターゲットにかすりもしない。
「やっぱり難しいよ……」
「それじゃ、俺が誘導してみるから、そのタイミングで撃ってみて」
俺が言うと、リーナは目を輝かせて頷いた。
二人での挑戦
俺はターゲットの動きに合わせて周囲を走り回り、魔法が当てやすい位置に誘導する。リーナは集中力を高め、俺が「今だ!」と声をかけるタイミングで魔法を放った。
「いけぇー!」
青い光の球がターゲットの動きに追い付き、ついに命中する。ターゲットが光を放ちながら消えた瞬間、リーナは喜びの声を上げた。
「やった!当たったよ、レイちゃん!」
「うん!すごいじゃないか!」
俺は笑顔でリーナを褒めた。彼女は嬉しそうにぴょんぴょん跳ねている。
さらなる挑戦と成功
リーナはその後も何度も魔法を放ち、少しずつ命中率を高めていった。最初はターゲットの動きを予測するのが難しかったが、徐々にコツを掴み始めたようだ。
「次は動きの速いターゲットに挑戦してみましょう」
アリサの指示で、高速で動くターゲットが配置された。それに対し、リーナは最初は苦戦したものの、俺が再び誘導を手伝うことで、ついに命中させることができた。
「これでどうだー!」
ターゲットが消えると同時に、リーナはガッツポーズを取る。その姿に、俺は自然と笑みがこぼれた。
「リーナ、成長してるよ。本当にすごい」
「えへへ、ありがとう!」
最後の成功とハグ
リーナが完全にターゲットに魔法を命中させることができるようになった頃、彼女は勢いよく俺の方に駆け寄り、嬉しそうに抱きついてきた。
「レイちゃんのおかげだよ!本当にありがとう!」
「えっ、ちょ、ちょっと……!」
リーナの勢いに押されて、一瞬どうしていいかわからなくなる。彼女の温もりを感じる中、俺は顔が赤くなっているのを必死に隠そうとした。
「ほら、練習はまだ終わってないわよ」
そんな俺たちのやり取りを見て、アリサがクスッと笑いながら声をかけてきた。その言葉でようやく我に返り、リーナも恥ずかしそうに俺から離れる。
「ごめん、つい嬉しくて……」
「う、うん。大丈夫だよ……」
俺は動揺を隠しながら、次の練習に集中することにした。
エンディング - リーナの成長
「これなら本番の冒険でもしっかり役立てるわね」
アリサが満足そうに言うと、リーナは笑顔で頷いた。
「次の冒険、楽しみだなぁ!」
リーナが笑顔でそう言う中、俺は彼女の成長を心から嬉しく思った。そして、自分ももっと頑張らなければと決意を新たにする。
次回予告
第18話では、サラが精密な攻撃を学ぶための個人訓練を行います。彼女の厳しさの裏に隠れた努力と成長の瞬間にご期待ください!
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