第16話連携訓練 - 一体感の始まり

連携訓練の開始


翌日、俺たちは練習場の模擬戦エリアに再び集まっていた。今日の目標は、全員で協力して訓練用のゴーレムたちを倒すことだ。


「昨日の成果を試すいい機会ね」


アリサが鋭い目つきで模擬戦エリアを見渡しながら言った。その隣では、リーナが杖を握りしめてやる気をみなぎらせている。


「今日はみんなで連携して戦うんだよね!私、頑張るよ!」


「ええ、リーナが支援魔法でサポートしてくれると助かるわ。サラと私が前衛で攻撃を仕掛けるから、レイは私たちの援護をお願い」


アリサが的確な指示を出し、俺たちはそれぞれの役割を確認した。


「ふん、私がミスをカバーするなんて事態にならないようにしてよね」


サラが少し意地悪そうに言うが、その目にはやる気が宿っている。俺は軽く頷き、剣を握り直した。


模擬戦の始まり


模擬戦エリアには三体の訓練用ゴーレムが配置されていた。それぞれが異なる動きで攻撃を仕掛けてくるため、連携が鍵となる。


「いくわよ!」


アリサの号令とともに、俺たちは一斉に動き出した。アリサとサラが前に出てゴーレムの注意を引きつける間、俺とリーナが後方から援護をする形だ。


アリサの剣がゴーレムの片腕を切り裂き、その隙をサラが見逃さずに一撃を叩き込む。二人の攻撃は完璧に連携しており、俺はその姿に見惚れそうになった。


「レイ、右のゴーレムをお願い!」


アリサの声にハッとし、俺は指示された通り右側のゴーレムに向かった。剣を振り下ろしつつ、ゴーレムの動きを牽制する。リーナの魔法が絶妙なタイミングでゴーレムの脚を絡め取り、動きを封じた。


「ナイス、リーナ!」


「えへへ、やったー!」


彼女の魔法のおかげで、俺はゴーレムにとどめを刺すことができた。


連携の課題と改善


しかし、戦いが進む中で、少しずつ連携の甘さが露呈し始めた。俺が攻撃のタイミングを間違え、ゴーレムの一体がサラに向かって反撃を仕掛ける。


「ちょっと!ちゃんと連携しなさいよ!」


サラが怒鳴りながらも素早く避けるが、俺は申し訳なさそうに頭を下げた。


「ご、ごめん!」


「謝る暇があったら次に備えて!」


彼女の言葉にハッとし、俺はすぐに体勢を立て直した。アリサが素早くサラをカバーし、ゴーレムの動きを封じる。


「レイ、もっと周りをよく見て!相手だけじゃなく、私たちの動きも意識して!」


アリサの指示を胸に刻み、俺は仲間の動きに目を配るようにした。そして、全員で攻撃のタイミングを合わせ、次のゴーレムを無事に倒すことができた。


最終戦 - 完璧な連携


残りのゴーレムが一体となった時、俺たちはこれまでの反省を活かし、慎重に連携を取った。アリサがゴーレムの正面を引き受け、サラが横から強烈な一撃を叩き込む。


「リーナ、今よ!」


俺が声をかけると、リーナが魔法でゴーレムの脚を絡め取り、動きを止める。そして、俺がその隙にゴーレムの背後から剣を振り下ろした。


「これで……終わりだ!」


剣がゴーレムの中心部に突き刺さり、最後の一体が動きを止めた。


「やった……!」


全員でゴーレムを倒した瞬間、自然と歓声が上がった。息を切らしながらも、俺たちは達成感で満たされていた。


ハグの一幕


「すごいよ、レイちゃん!本当に頑張ったね!」


リーナが嬉しそうに駆け寄り、俺に抱きついてきた。その柔らかな感触に、一瞬頭が真っ白になる。


「え、えっと……ありがとう……」


なんとか言葉を絞り出すが、顔が熱くなるのを抑えきれない。リーナはそんな俺の様子に気づかず、さらに笑顔を浮かべている。


「私ももっと頑張らないと、レイちゃんに負けちゃうかも!」


「ふふ、リーナが成長してくれると私も助かるわ。みんな、本当にお疲れ様」


アリサが優しく微笑みながら声をかけ、俺たちはようやく気持ちを落ち着ける。


「……まぁ、悪くない動きだったわね」


サラがそっぽを向きながら呟いた。その言葉に、俺はまた少し照れながらも、みんなと一緒に笑顔を交わした。


エンディング - 次なる挑戦に向けて


訓練を終えた俺たちは、少しだけ自信をつけることができた。それぞれが成長し、次の冒険に向けての準備が整いつつある。


「これからも練習を続けて、次のダンジョンで成果を出しましょう」


アリサの言葉に全員が頷き、俺たちはさらなる高みを目指す決意を新たにした。


次回予告


第17話では、リーナの魔法訓練が中心に描かれます。彼女の課題に向き合い、レイが支援をしながら共に成長する姿にご期待ください!

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