第20話練習お疲れ会 - 打ち上げの夜

宿に戻る道中


「ふぅ……これで練習も全部終わりね」


夕暮れの中、俺たちは練習場を後にして宿へ向かっていた。疲れた体を引きずりながらも、達成感が全員の顔に浮かんでいる。


「毎日頑張ったね!みんなのおかげで楽しく練習できたよ!」


リーナがにこやかに言い、俺たちの間に自然と笑いが広がる。サラは腕を組みながら少し誇らしげに鼻を鳴らした。


「まぁ、私がいたからこそ、全員うまくまとまったのよね」


「はいはい、サラのおかげね」


アリサが苦笑しながらも、全員を見渡して言葉を続けた。


「でも、これで次の冒険にも自信を持って挑めるわ。みんな、本当にお疲れ様」


その言葉に、俺たちは改めて大きく頷いた。だが、リーナが突然手を叩いて提案する。


「ねぇ、今日ってみんな疲れたけど、すごく頑張ったじゃない?だから、お疲れ会しようよ!」


「お疲れ会?」


俺が首をかしげると、リーナはにっこり笑って言った。


「打ち上げだよ!美味しいご飯を食べながら、みんなで盛り上がろうよ~!」


「……悪くないわね。どうせ宿に戻るだけじゃつまらないし」


サラも珍しく賛同し、アリサも満足げに頷いた。


「じゃあ、街の近くに良さそうな店があるから、そこで一休みしましょう」


打ち上げの店


俺たちは街の中心にある賑やかな居酒屋に入った。木製のテーブルが並ぶ店内は明るい灯りに包まれ、活気のある笑い声や料理の香りが漂っている。


「ここ、いい雰囲気だね!楽しみ~!」


リーナが目を輝かせながら席に着き、サラは周囲を見渡しながら「まぁ、悪くないわね」と呟く。アリサが注文を取りまとめ、次々と料理が運ばれてきた。


「わぁー、美味しそう!」


リーナが目の前に並んだ料理を見て歓声を上げる。ローストチキンや焼き野菜の盛り合わせ、香ばしいパンなど、どれも食欲をそそるものばかりだ。


「さぁ、みんな。改めて乾杯しましょう」


アリサがグラスを掲げると、俺たちはそれに合わせて声を合わせた。


「お疲れ様!そして、次の冒険に向けて!」


グラスを合わせる音が響き、俺たちは打ち上げを楽しみ始めた。


盛り上がる会話


料理を口に運びながら、俺たちは練習の思い出やこれからの冒険について語り合った。


「そういえば、サラが最初に力任せでターゲットを全部叩き割ったの、笑っちゃったよね!」


リーナが笑いながら言うと、サラは顔を赤らめて反論する。


「うるさいわね!最終的には全部命中させたでしょ!」


「でも、あの時のサラちゃん、本当に面白かったんだもん!」


リーナが笑い続ける中、アリサもクスリと笑っている。


「それだけみんなが成長したってことね。私も最初は、レイがここまで動けるようになるなんて思わなかったわ」


「え、そ、それって褒めてる?」


俺が戸惑いながら聞くと、アリサは柔らかく微笑みながら言った。


「もちろんよ。本当に成長したと思うわ」


その言葉に少し照れながら、俺も「ありがとう」と返した。


お酒でのハプニング


会が進むにつれ、リーナがほろ酔いになり、いつも以上に饒舌になっていた。


「ねぇねぇ、レイちゃんって本当に頼りになるよね!なんでこんなに優しいのかなぁ~?」


「ちょ、ちょっとリーナ、酔ってるんじゃない?」


俺が焦りながら言うと、リーナは顔を近づけてきてにっこり笑う。


「酔ってないよ~!でも、レイちゃんって本当にかっこいいなって思ってるんだ~!」


「なっ……!」


突然の言葉に、俺は顔が真っ赤になりそうだったが、サラがリーナを引っ張り戻してくれた。


「こら、あんた調子に乗りすぎよ!」


「えへへ~、サラちゃんも本当はレイちゃんのこと好きでしょ~?」


「なっ……そんなわけないでしょ!」


サラも顔を赤くしながら反論し、アリサは呆れたように笑っていた。


「ほらほら、そろそろ帰りましょう」


宿までの帰り道


打ち上げを終え、店を出た時には夜風が心地よく感じられた。街の灯りが淡く輝き、俺たちは静かな道を歩きながら宿へ向かっていた。


「今日、本当に楽しかったね!」


リーナが楽しげに言い、俺たち全員が笑顔で頷いた。サラは少しだけ気恥ずかしそうに顔を逸らしながら呟いた。


「まぁ……こういうのも悪くないわね」


「そうね。これでまた新しい冒険に挑む準備が整ったわ」


アリサが満足そうに言い、俺たちはそれぞれに感謝の気持ちを抱えながら歩き続けた。


夜の静けさ


宿に戻り、部屋に入ると静寂が広がった。疲れた体を布団に預けながら、俺は今日の出来事を振り返った。


「本当にいい仲間に恵まれたな……」


そう呟きながら、次の冒険に向けての期待を胸に、静かに目を閉じた。


次回予告


第21話では、次の冒険の準備が描かれます。新たな装備やアイテムの購入、そして次の目的地へと旅立つシーンをお楽しみに!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る