第14話情報屋の助言と練習場への道

情報屋への訪問


「ここが……情報屋さんか」


俺たちは街の裏通りにある小さな店の前に立っていた。木製の看板には「旅人の手引き」と刻まれており、その古びた外観は長い歴史を物語っている。


「本当にここで大丈夫なの?」


サラが少し怪訝そうに呟く。そんな彼女に対し、アリサは冷静に頷いた。


「冒険者ギルドでも評判の情報屋よ。次の冒険のヒントが欲しいなら、ここに来るのが一番確実だわ」


「じゃあ、入ってみよう!」


リーナが明るい声で扉を押すと、中から小さなベルの音が鳴った。店内には本や地図が所狭しと並べられており、奥には白髪でひげを蓄えた老人が座っていた。


「おや、若い冒険者たちか。いらっしゃい。今日は何をお探しかな?」


その老人は穏やかな笑顔を浮かべながら、俺たちを歓迎するように手を広げた。


次の冒険先を探す


「実は、次に挑戦するダンジョンを探しているんです。何かおすすめはありますか?」


俺がそう尋ねると、老人は顎に手を当てながら考え込んだ。


「そうじゃな……最近見つかったダンジョンでいえば、街の南にある《灼熱の溶岩洞窟》が話題じゃ。だが、あそこはかなりの難易度じゃぞ」


「灼熱の溶岩洞窟……?」


アリサが真剣な顔で地図を覗き込みながら呟く。


「名前からして、かなり危険そうね」


「そうじゃな。内部は溶岩が流れ、常に高温。さらに、熱の影響で魔法が使いにくくなるという噂じゃ。相応の準備がなければ、生きて帰るのは難しいじゃろうな」


その言葉に、俺たちは顔を見合わせた。アリサは眉をひそめ、サラはため息をつく。


「ほかには?もっと簡単なところはないの?」


サラがぶっきらぼうに尋ねると、老人は笑みを浮かべながら首を振った。


「簡単なところは、もう初心者たちが片付けてしまっておる。この街で次に挑むべき冒険はどれも難易度が高いじゃろうな」


「じゃあ、私たちには無理なのかな……」


リーナが落ち込んだ声を漏らすと、老人は少しだけ真剣な表情になった。


「そうじゃの。現状の実力では、どれも難しいかもしれん。しかし、鍛え直す時間があれば話は別じゃ」


「鍛え直す……?」


俺が反応すると、老人は微笑みながらカウンターの奥から地図を取り出した。


「街の外れに練習場があるのを知っておるか?模擬戦や仕掛けを使った訓練ができる施設じゃ。多くの冒険者がそこで腕を磨いておる」


老人の言葉に、アリサが興味深そうに地図を覗き込む。


「そんな場所があったのね……」


練習場への反対意見


「……でも、わざわざ練習するなんて、時間の無駄じゃない?」


サラが少し不満げな顔で呟く。


「冒険は実践が一番の練習になるでしょ。そんな施設で鍛えたところで、実戦で通用するとは限らないわ」


「でも、今のままだと次のダンジョンに挑むのは危険だよ。ちゃんと準備してから行ったほうがいいんじゃない?」


リーナが反論すると、サラは不機嫌そうに肩をすくめた。


「……まぁ、あんたたちがどうしても行きたいなら付き合ってあげるわよ。でも、私に指図しないでよね」


「それでいいわ。サラもきっと役に立つはずよ」


アリサが冷静にまとめ、俺たちは練習場へ行くことを決めた。


練習場への道中


「こういうの、なんだかワクワクするね!」


リーナがはしゃぎながら地図を指差す。街の端にある練習場は、広大な施設だと聞いていたが、実際にどんな場所かは誰も知らない。


「どんな訓練があるんだろう……」


俺は期待と不安を胸に歩き続けた。次の冒険に備えるためにも、この練習場での経験が重要になるはずだ。


「無駄足にならないといいけどね」


サラがぼそりと呟くが、どこか楽しみな様子も垣間見える。


練習場に到着


俺たちがたどり着いた練習場は、街の喧騒から離れた広い敷地にあった。門をくぐると、訓練用の武器や防具が整然と並び、広場では他の冒険者たちが模擬戦を繰り広げている。


「すごい……こんな場所があったんだ」


リーナが目を輝かせながら周囲を見渡す。アリサも真剣な表情で施設の様子を確認している。


「ここなら、本格的な訓練ができそうね」


「まぁ、悪くはないわね……」


サラが呟きながら模擬戦エリアを指差す。


「じゃあ、まずはそれぞれ自分の課題を見つけるところから始めましょう」


アリサの提案に、俺たちは頷いた。次の冒険に向けて、自分たちを鍛え直す修行が始まる――。


次回予告


第15話では、模擬戦を通じてレイが自身の課題に向き合います。サラの厳しい指導やアリサの的確なアドバイスを受けながら、少しずつ成長していく姿にご期待ください!

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