第13話宿屋での夜と新たな決意
宿屋の静かな夜
冒険者ギルドでの報告を終え、美味しい食事と温かいお風呂で癒された俺たちは、それぞれ部屋に戻ることになった。賑やかな食堂を離れ、階段を上がる足音が静かな廊下に響く。
「ふぅ……やっぱり街に帰ると安心するね」
リーナが少し疲れた表情を浮かべながらも、満足そうに笑った。
「しっかり休んで、また明日から頑張りましょう」
アリサが穏やかに言い、俺たちはそれぞれの部屋へと向かった。
主人公とアリサの会話
俺が自分の部屋に入ろうとした時、アリサがふと足を止めた。
「レイ、少しいい?」
「え、うん。どうしたの?」
俺は少し驚きながらも、彼女と一緒に廊下の端に歩いていく。窓の外には星空が広がり、静かな夜の空気が漂っていた。
「今回の遺跡攻略、本当に大変だったわ。でも、みんなのおかげで無事に終わった。本当にありがとう」
アリサが真剣な表情で感謝の言葉を伝えてくれる。その言葉に俺は照れくさくなりながらも微笑んだ。
「そんなことないよ。アリサがリーダーとして引っ張ってくれたからこそ、ここまでこれたんだと思う」
「そう言ってくれると嬉しいけど……」
アリサは少し言葉を詰まらせた後、俺をじっと見つめた。
「レイ、あなたももっと前に出て戦えるようになりなさい。みんなを支えるだけじゃなく、自分の力を信じて」
彼女の言葉に、俺は一瞬戸惑ったが、その目が本気で俺を信じているのだと感じた。
「……わかった。これからもっと頑張るよ。みんなを守れるようになりたいから」
俺がそう答えると、アリサは優しく微笑んだ。
「その意気よ。これからもよろしくね、レイ」
彼女は俺の肩を軽く叩き、そのまま自分の部屋へと戻っていった。俺はその場に立ち尽くしながら、彼女の言葉の重みを噛み締めた。
リーナの励まし
部屋に戻ると、予想外の光景が目に入った。リーナが布団の上でゴロゴロと転がりながら、俺を待っていたのだ。
「レイちゃん、おそーい!待ってたんだよ?」
「えっ、リーナ!?なんでここに?」
驚く俺に対し、彼女は悪びれた様子もなくニコニコと笑っている。
「だって、一緒に話したかったんだもん。迷惑だった?」
「いや、迷惑っていうか……急だからびっくりしただけ……」
「そっか、よかった!」
彼女は無邪気な笑顔を浮かべながら、俺の隣に座った。
「ねぇ、レイちゃん。遺跡での戦い、大変だったけど楽しかったね!次の冒険もみんなで行けるの楽しみだな~」
「うん……そうだね。リーナがいてくれたから、俺も助かったよ」
俺がそう言うと、リーナは嬉しそうに微笑んだ。
「ありがと。でも、これからも一緒に頑張ろうね。レイちゃんは私たちの大事な仲間だから!」
その純粋な言葉に、俺は少しだけ胸が熱くなるのを感じた。
「うん、ありがとう。これからもよろしくね」
俺がそう言うと、リーナは満足したように布団から跳ね起き、自分の部屋に戻っていった。
サラとのツンデレなやり取り
リーナが去り、ようやく一息つこうとした時、今度はドアが控えめにノックされた。
「……なに?」
ドアを開けると、そこにはサラが立っていた。腕を組みながら、どこか気まずそうな顔をしている。
「ちょっとだけ……話があるの。いい?」
「うん、いいけど……」
俺は彼女を部屋に招き入れると、サラは少し落ち着かなさそうに椅子に座った。
「今回の遺跡……あんた、結構頑張ってたじゃない」
「えっ、ありがとう」
不意に褒められて、俺は思わず頬を赤らめた。サラはすぐにそっぽを向き、ぶっきらぼうな声で続けた。
「でも……次はもっと役に立ちなさいよね。私がいちいち助けなくても済むように」
「はは、頑張るよ。でも、サラが助けてくれたから、俺も無事にいられたんだよ。本当にありがとう」
俺が真剣に礼を言うと、サラは一瞬驚いたような顔をした後、急いで顔を背けた。
「べ、別にあんたのためにやったわけじゃないから!勘違いしないでよね!」
そのツンデレな態度に、俺は思わず笑ってしまった。
「でも、本当にありがとう。これからも頼りにしてるよ」
「……ま、まあ、期待に応えてあげるわよ」
サラはそう言い残して立ち上がり、そそくさと部屋を出ていった。その背中を見送りながら、俺は改めて仲間たちのありがたさを感じていた。
新たな決意
夜が深まり、宿屋の静けさが心を落ち着けてくれる。俺はベッドに横たわりながら、これまでの冒険を思い返していた。
「……もっと強くならないとな」
仲間たちを守るために、そして自分がこの世界で生きていくために、俺は次の冒険に向けて決意を新たにした。
窓から見える星空が、そんな俺の胸の中を静かに照らしていた。
次回予告
次回、第14話では、新たな冒険の情報を探しに街を歩く俺たちの姿が描かれます。日常の中で芽生える絆と、次の挑戦への期待が膨らむエピソードをお楽しみに!
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