第12話街への帰還と冒険の報酬

街の入口が見えた朝


「やっと街が見えてきた……!」


リーナが山道を下りながら嬉しそうに声を上げる。遠くに見える街並みは、俺たちにとって安堵と喜びをもたらしていた。長い冒険の末、ようやく帰ってこれたのだ。


「帰れるっていいわね。でも、ちょっと寂しくもあるかも……遺跡攻略のスリルがまだ体に残ってる感じ」


アリサが微笑みながら呟く。俺はその言葉に思わず笑いながら答えた。


「そんなこと言って、街に帰ったらすぐに次の冒険の計画を立てるんでしょ?」


「もちろんよ。次も強いモンスターを倒せるように準備しなくちゃね」


アリサは自信満々に言うが、リーナはすかさず抗議の声を上げる。


「えー!とりあえずお風呂とご飯でしょ!次の冒険はその後!」


その会話に、サラは呆れたように肩をすくめた。


「まったく……あんたたち、無事に帰れたばっかりなのに、もう次の話?」


街に到着、冒険者ギルドでの報告


俺たちは街に足を踏み入れると、真っ先に冒険者ギルドへ向かった。街の喧騒や香ばしい食べ物の匂いが疲れた体に心地よい刺激を与えてくれる。


「星辰の宝珠を持ち帰ったのね。本当に素晴らしいわ!」


ギルドの受付嬢が目を輝かせながら、俺たちの報告を聞いてくれた。アリサが堂々と冒険の成果を語り、宝珠をギルドに預けると、周囲の冒険者たちがざわめき始める。


「えっ、本当にあの遺跡を攻略したのか?」


「星辰の宝珠を見つけたなんて……すごいな!」


その声を聞きながら、リーナは照れくさそうに笑い、サラは少し居心地悪そうに視線を逸らしていた。


「ふん、当然でしょ」


サラが鼻を鳴らしながら言うが、その頬はほんのり赤い。俺はそんな彼女たちの様子を見て、思わず微笑んでしまった。


「みんなのおかげで無事に終わったね。本当にありがとう」


そう言うと、アリサが優しく笑って頷いた。


「これからもみんなで頑張りましょう。まだまだ大きな冒険が待っているわ」


ギルドから報酬として金貨やアイテムを受け取り、俺たちは次に何をするか話し合うことにした。


街の散策


「次の冒険の前に、ちょっと街を散策しようよ!」


リーナの提案で、俺たちは街の市場を見て回ることになった。露店が立ち並ぶ中、美味しそうな匂いや賑やかな声が溢れている。


「これ、すっごく美味しそう!」


リーナが焼き立てのパンを見つけて飛びつく。その様子に俺たちは思わず笑いながら、リーナに続いていく。


「お金の使いすぎには注意しなさいよ」


サラが小言を言うが、彼女も武器屋の前で足を止め、新しい大剣をじっと見つめている。


「それ、サラちゃんに似合いそうだね」


俺が声をかけると、サラは驚いたように振り返り、すぐにそっぽを向いた。


「……当たり前でしょ。どんな剣でも私に似合うに決まってるじゃない」


そんなツンデレな態度に、俺たちはまた笑い合った。


宿屋での休息とお風呂


市場を回った後、俺たちは宿屋に向かい、ようやく一息つくことにした。宿屋は広々としていて、清潔感のある内装が心を落ち着けてくれる。


「さぁ、お風呂に入りましょう!」


リーナが元気よく声を上げ、アリサも頷く。


「確かに、体を綺麗にしたいわね。サラ、レイも行きましょう」


「えっ、私は……ちょっと後でいいかな?」


俺は焦りながら断ろうとしたが、リーナが腕を掴んで強引に引っ張る。


「だめだよ、レイちゃんも一緒に行こう!」


「ちょ、ちょっと待って……!」


そう言いながらも、俺は引きずられるように浴場へ向かった。


お風呂での一幕


浴場に入ると、湯気が立ち込めていて、広々とした浴槽が目の前に広がっている。リーナは真っ先に湯船へ飛び込むと、嬉しそうに声を上げた。


「わぁ~、気持ちいい!」


アリサも静かに浴槽に浸かり、目を閉じて疲れを癒している。サラは恥ずかしそうにしながらも、壁際で静かに体を洗っている。


俺も入浴しなければならないが、女性用のキャラクターである自分の体を見られるのはどうしても気が引ける。


「レイちゃん、何してるの?早く入りなよ!」


リーナに促され、俺は仕方なく湯船に足を入れた。熱いお湯が体を包み込む感覚にほっとするが、目の前で無防備に笑い合う彼女たちの姿に、心の中がざわついてしまう。


「これが普通なんだ……普通に振る舞え……!」


心の中で自分に言い聞かせながら、俺はなんとか平静を保とうとする。しかし、リーナが近づいてきて話しかけてきた時、心臓が跳ね上がる。


「レイちゃん、なんだか顔赤いよ?熱すぎたかな?」


「えっ!?い、いや、大丈夫……!」


俺は慌てて顔を隠すようにしながら返事をする。リーナは首をかしげながらも、気にせず湯船に戻っていった。


「……落ち着け、俺。ここは冒険の一環だ……」


自分に言い聞かせながら、俺は何とかこの状況を乗り切ることを決めた。


夜の団欒


お風呂から上がり、俺たちは宿屋の広間で食事を楽しんだ。温かい料理がテーブルいっぱいに並び、リーナは嬉しそうにそれを頬張っている。


「こんなに美味しいご飯、久しぶり!」


サラは「食べすぎないでよね」と注意しながらも、自分も満足そうに料理を口に運んでいる。


アリサがふと真剣な表情で口を開いた。


「明日からどうするか、考えないとね。次の冒険に向けて準備を始めましょう」


その言葉に、俺たちは頷きながらも、今だけはこの穏やかな時間を楽しむことにした。


次回予告


次回、第13話では、宿屋での個別の会話や、キャラクターたちの思いが語られる一夜を描きます。さらに深まる絆と、次の冒険への期待が高まるエピソードをお楽しみに!

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