第9話暗黒の通路と封じられた魔法
魔法封じのエリアへの突入
「ここから先、魔法が使えなくなるって噂は本当みたいね……」
アリサが壁に埋め込まれた古代文字を読み取りながら、険しい表情で呟いた。遺跡のこのエリアは「魔法封じの通路」と呼ばれており、あらゆる魔法が無効化される場所だという。
俺たちはその言葉に身構えながら、静かな通路を進んでいた。古代文字が薄暗い光を放ち、壁や床には不穏な影が揺れている。
「魔法が使えないなんて……不安だよね」
リーナが杖を握りしめながら小さく呟く。彼女の不安そうな表情に、俺は少しでも安心させようと笑みを浮かべた。
「大丈夫だよ、リーナちゃん。ここはサラちゃんとアリサちゃんに任せよう。俺たちはサポートに回ればいい」
「……まあ、当然でしょ」
サラが前方でツンとした顔をしながら大剣を構えた。
「近接戦なら私とアリサに任せなさい。ただし、後ろでウロウロして邪魔しないこと。特にあんたよ、レイ」
「は、はい。邪魔しません……」
俺が苦笑しながら答えると、サラは満足げに鼻を鳴らした。その後ろでは、アリサが剣を構えながら微笑んでいる。
「サラ、そんな言い方しなくてもいいじゃない。でも、確かにここは私たち前衛が頑張るしかないわね」
現れる強敵:シャドウゴーレム
通路を進むと、突然地面が揺れ、奥の暗闇から巨大な影が現れた。それは漆黒の体に鋭い目を光らせた「シャドウゴーレム」だった。遺跡を守る守護者として配置されているのだろう。
「来たわね……!」
アリサが剣を構え直し、サラがすかさずその隣に並ぶ。ゴーレムは巨大な腕を振り上げ、地面を叩きつけて衝撃波を放ってきた。
「リーナ、下がって!ここは私たちが食い止める!」
アリサが叫び、リーナは後方に退避する。俺もリーナの隣に移動し、状況を見守った。
アリサとサラの連携
「いくわよ、サラ!」
「ええ、わかってる!」
アリサがゴーレムの正面から突撃し、剣を一閃させる。その間にサラが素早く背後に回り込み、大剣を振り下ろした。しかし、ゴーレムの漆黒の体はまるで岩のように硬く、ほとんど傷をつけることができない。
「硬い……!これじゃ埒が明かないわ!」
サラが苛立った声を上げたその時、ゴーレムが大きな腕を振り下ろして反撃してきた。アリサがとっさに剣で受け止めるが、衝撃で大きく後退してしまう。
「アリサ、大丈夫!?」
俺が叫ぶと、彼女はすぐに立ち上がり、笑顔で頷いた。
「平気よ。でも、攻撃のタイミングをもっと絞らないと……」
サラは苛立ちながらもアリサの横に立ち、再び構えを整える。
「……わかった。次はタイミングを合わせるわよ!」
ピンチに陥るサラ
連携を図りながら戦うアリサとサラだったが、ゴーレムの反撃は容赦なかった。サラが再び攻撃を仕掛けた瞬間、ゴーレムの巨大な腕が振り下ろされ、彼女の足元が崩れてバランスを崩してしまう。
「きゃっ……!」
サラが倒れそうになるのを見て、アリサが素早く彼女を支えた。
「大丈夫?無理しないで!」
「だ、誰が無理なんてしてるってのよ……!放してよ!」
サラが顔を赤らめながら反論するが、その声にはほんの少しだけ弱さが混じっている。アリサが優しく微笑みながら、彼女をしっかりと支え続けた。
「そんなこと言わないで。私たちは仲間なんだから、助け合うのが当たり前でしょ?」
「……わかったわよ。でも、次は絶対に助けられないから!」
サラがムスッとした顔をしながらも、再び剣を構える。その姿に俺は思わず微笑んでしまった。
シャドウゴーレムの撃破
「リーナちゃん、何かできることはない?」
俺がリーナに問いかけると、彼女は何かを思いついたように顔を輝かせた。
「ゴーレムの足元を滑らせるように、水の流れを作るよ!」
魔法封じのエリアではあったが、リーナが湖で集めてきた水を利用することでわずかな支援が可能だった。リーナが作り出した小さな水流が、ゴーレムの足元を滑らせ、動きが鈍る。
「今よ、アリサ、サラ!」
アリサとサラは声を合わせて突撃し、見事にゴーレムの胸部を叩き割った。漆黒の体が崩れ落ち、シャドウゴーレムは動きを止めた。
「やった……!」
俺たちはようやく安堵の息をつく。アリサとサラも肩で息をしながら、互いに微笑みを交わしていた。
「いいコンビネーションだったわね、サラ」
「……ま、まあ、悪くはなかったわ」
サラが照れ隠しのように目をそらしながら答える。その姿にアリサは優しく笑い、リーナも明るい声で感謝を述べた。
次の扉への進行
「次は……あの扉の向こうね」
シャドウゴーレムが倒れると同時に、奥の巨大な扉がゆっくりと開き始めた。扉の先には、さらに危険な仕掛けが待っていることが容易に想像できた。
「まだまだ気を引き締めていきましょう」
アリサが剣を納めながら言う。俺たちは再び隊列を整え、次のエリアへと足を踏み入れる。
こうして、俺たちの《忘れられた古代遺跡》攻略はさらに深いステージへと進んでいった。
次回予告
第10話では、ダンジョン最奥の「星影のガーディアン」との戦いを描きます。圧倒的な力を持つボスとの死闘の中で、仲間たちの絆が試される最終決戦をお楽しみに。
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