第7話古代遺跡への挑戦 - 罠だらけの通路
キャンプ地での決断
夜空には無数の星が輝き、俺たちはキャンプ地の焚き火を囲んで座っていた。ドレイク討伐の成功から数日が経ち、新しい冒険について話し合うための場だった。
「次はどうするの?」
リーナがスープをかき混ぜながら、明るい声で聞いてくる。戦いの疲れも癒え、彼女の顔には期待と好奇心が溢れている。
「これを見て」
アリサが懐から取り出したのは、一枚の古びた地図だった。羊皮紙には奇妙な文字が並び、中央には「《忘れられた古代遺跡》」と書かれている。
「これは街の冒険者ギルドで手に入れた情報よ。この遺跡の最奥には《星辰の宝珠》という古代の秘宝が眠っているって話」
「《星辰の宝珠》……すごい響きだね。でも、そんなのが本当にあるのかな?」
リーナが少し眉をひそめると、アリサは力強く頷いた。
「確かに、存在を疑う人も多いわ。でも、それを証明するためにも行ってみる価値はあると思うの。成功すれば、私たちの実力も街で認められるし、報酬も期待できるわ」
「でも……難易度が高いんじゃない?」
俺は地図をじっくりと眺めながら口を開いた。この遺跡について聞いた噂は、ほとんどが「危険」「戻れない」といったものだった。
「確かにそうね。でも、私たちならやれるはずよ」
アリサの言葉に、リーナが小さく頷きながら笑みを浮かべた。
「私も行きたいな!だってみんなと一緒なら、どんな場所でも怖くないもん!」
そんなリーナの前向きな言葉に、俺も少し背中を押された気がする。だが、サラは腕を組み、難しい顔で黙り込んでいた。
「どうしたの、サラちゃん?怖いの?」
リーナが冗談めかしてからかうと、サラはムッとした表情で反論する。
「……別に怖くないわ。ただ、危険な場所に行くなら、あんたたちが足を引っ張らないようにしてほしいだけ」
そのツンとした態度に、俺たちは思わず笑ってしまった。彼女なりに心配しているのだろう。
「わかったよ、サラちゃん。君の力を頼りにしてるから、よろしくね」
俺が言うと、彼女はほんの少しだけ顔を赤らめて目を逸らした。
「ふん、あんたたちが本気なら、付き合ってあげるわ」
こうして、俺たちは《忘れられた古代遺跡》への挑戦を決めた。
ー罠だらけの通路ー
「これが……《忘れられた古代遺跡》……」
俺たちは巨大な遺跡の前に立っていた。苔むした石造りの入り口は、どこか重々しい威圧感を放っている。アリサが先頭で扉を見上げながら静かに呟いた。
「本当に行くんだね。なんだかワクワクしてきた!」
リーナが目を輝かせて笑うが、その一方で不安も隠せない様子だった。俺は彼女に軽く微笑んで肩を叩いた。
「大丈夫、みんなで協力すればきっと乗り越えられるよ」
「そうだよ!だってレイちゃんがいるんだから!」
リーナの元気な声に少しホッとした俺の隣で、サラが不機嫌そうに腕を組む。
「……甘いこと言ってる暇はないわよ。さっさと行きましょう」
彼女が冷たい態度を見せるのも、きっと気を引き締めようとしているからだろう。俺たちは気合を入れ直し、遺跡の中へと足を踏み入れた。
遺跡の中は薄暗く、湿った空気が漂っていた。床や壁には古代文字が刻まれ、長い間誰も訪れていないことを感じさせる。俺たちが慎重に進む中、突然アリサが立ち止まった。
「待って……」
彼女が壁を指差すと、そこには無数の穴が空いているのが見えた。
「これ、矢の罠よ。通路を進んだら仕掛けが発動するわ」
「へえ、よく気付いたじゃない」
サラがアリサを見直すように言いながら、通路の前にしゃがみ込む。そして、仕掛けの様子をじっくりと観察し始めた。
「どう?解除できそう?」
リーナが尋ねると、サラは得意げに笑みを浮かべた。
「簡単よ。このスイッチをこうして……」
サラが自信満々に仕掛けを操作すると、突然「カチッ」という音が響いた。次の瞬間、通路の両側から矢が勢いよく飛び出してきた。
「きゃっ!」
リーナが驚いて後ずさる中、サラも慌てて伏せる。矢の一本が掠め、彼女の服の袖がわずかに破れてしまった。
「ちょっと、危ないじゃない!」
俺は急いで駆け寄り、彼女の腕を確認する。
「大丈夫?怪我してない?」
「う、うるさいわね!掠っただけだから平気よ!」
サラは怒ったように俺を睨み返すが、その顔は少し赤らんでいる。袖が破れたせいで露わになった白い肌が、焚き火の明かりでうっすらと輝いているのが目に入って、俺は思わず視線を逸らした。
「何よ、どこ見てるのよ!バカ!」
「いや、見てないよ!ほら、手当てしようと思って!」
俺が慌てて応じると、サラは不機嫌そうに顔をそむけながらも、少しだけ大人しく腕を差し出した。
罠を解除しながら進む俺たちだったが、この遺跡の罠はどれも一筋縄ではいかない。それでも、サラの腕前やアリサの観察力、そしてリーナの明るさが場を支え、なんとか最初の通路を抜けることができた。
「次はどんな仕掛けがあるのかな?」
リーナが楽しそうに笑う中、俺たちはさらに奥へと進んでいった。
「気を抜かないでよ。またあんたたちがミスしたら、私がカバーするんだから!」
ツンツンと文句を言いつつも、どこか嬉しそうに見えるサラの姿に、俺は思わず小さく笑った。
こうして、俺たちの《忘れられた古代遺跡》への挑戦が本格的に始まった。
次回予告
次回、第8話では地下湖エリアへ進み、魔法反射モンスター「クリスタルクラブ」との戦闘を描きます。リーナの水中での活躍やドキドキのハプニングにも注目です。
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