30 セックス依存性

 翌日はやっぱり起きれなくて、学校を休み、始業式を欠席した。

 

 私は中学3年生になっていた。

 髪は染めない。スカートも折らない。

 不良グループではなく、真面目グループに属した。


 普通にまともなフリをして、中学に通いながら月2日~週3日位、1日1~7人ほど客を取った。

 

 その1年間で、私は恐らく100人程の客とした。


 色んな場所でした。


 足の踏み場もないゴミ屋敷。

 超有名高級ホテル。

 古くて汚いお好み焼き屋の鉄板の上。

 堀江のおしゃれなデザイナーズマンション。

 家族が2階で寝ている閑静な住宅地の一軒家のガレージ。

 工事現場のプレハブ小屋…。


 色んな人とした。

 

 射精はおろか勃起も出来ないおじいちゃん。

 大き過ぎる人、小さ過ぎる人。

 あり得ない角度にアレが曲がっているおじさん。

 同じ空間で同じ空気を吸うのも嫌なくらい不潔なジジイ。

 カッコ良いだけの変態。

 酒なのか薬なのか…とにかく目がヤバくて

言ってる事もやってることも支離滅裂なヤバい人。

「おかあさん!おかあーさーん!」と泣き叫びながらイッちゃう残念な奴…。


 色んなプレーをした。


 手をつないで寝るだけだったり。

「お姉さまと呼ばせて下さい。

 愚かな自分を罵倒して踏みつけて下さい」

 と頼まれたり。

 お互いのパンツを頭に被ってやりたいと言われたり。

 浣腸されアナルセックスを強要されたり。

 縛られてろうそくを垂らされたり。

 ティッシュの張り付いたお尻の穴を舐めろと命令されたり…。


 本当に色々あった。



 

 デリバリーヘルスは基本、挿入禁止だ。

 入れちゃダメ。手か口で抜いてあげてねと指導される。

 

 セックスでは無い。


 だから社会的に認められ法律的にもセーフなのだろう。

 

 でも、店舗ではなくホテルや自宅でプレーする為、すぐ近くに従業員の気配がないからか、

「入れてイイ?」

 と頼まれることも多かった。


 正直、手や口で抜くより、入れた方が、心も体も楽だし、何より気持ち良い。

 

 別料金を貰う事で私は挿入を受け入れる事も多々あった。

 

 性感染症や妊娠など、ゴムをしていても不安はある。


 でも、もしそうなれば死ねば良いやと思っていた。

 

 むしろ、深刻な性病にでもなって死んでしまいたかった。


 セックスのせいで死ぬなんて最高!本望だ。


 辛い、苦しい、悲しいと思う時、そしてお金が欲しいと思う時…。


 私は、

「今から出勤してもいいですか?」

 とドライバーさんに電話した。

 

 いつも、帰りの助手席では、


(これが最後。絶対にもうやらない。)

 と思う。

 

 でも、どうしてもやめられなかった。

 最低な日はもちろん。

 最高な日もダメだった。

 

 親友と思える友達と腹を割って、色んな話をして通じ逢えたと思えた日も…。


 もしかしたら本気で好きになれるかもと思える男と、楽しいデートをした日も…。


 帰って1人、布団に入ると堪らなくなる。


 ドライバーさんに電話してしまう。

「今から出勤してもいいですか?」

 

 

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