24 青春終了
気付けば、また一人ぼっちの日々だった。
初ライブはグダグダのボロボロで、もう二度とごめんだと思った。
誰もはっきりと名言しなかったが、事実上、解散したようなもので、練習もミーティングもないから、メンバーで集まることもなくなっていた。
ユカリちゃんも、実家の手伝いが忙しいからと、1週間に1度帰るか帰らないかという感じになっていた。
学校の友達は学校の友達で、学校の外で会う程には仲良く慣れなかった。
シブちゃんとは、終わった。
初ライブからしばらくたったある日、2ヶ月程も生理が来ていないことに気が付いた。
シブちゃんは「ゴムをするとイケない。外出しするから大丈夫」と言って、避妊をしてくれなかった。いつデキても不思議じゃないとずっと不安だった。
デキちゃったかも…背筋が凍った。
恐る恐る伝えると、
「ええ!オレそんな失敗したことないけど」
と不服そうな顔をされた。
『失敗』と言う言葉に違和感を感じた。
「もし、出来てたらどうしよう。」
と聞くと、
「えぇ…オレ今そんな金ないけど、まあなんとかするから、堕ろすなら早い方が色々良いやろうし、兎に角、検査薬とか買って試してみたら?」と言われた。
ショックだった。
一切迷うこと無く、堕ろす前提な事に。
思いやりや、気遣いも無く、検査薬を買って試してみたら?と何処か他人事な感じに。
結局、自分で検査薬を買い、一人で調べてみたが妊娠はしていなかった。
念のため婦人科にも行ったが10代は生理周期が乱れやすいからよくあることで、妊娠でも病気でも無く問題ないと言われた。
シブちゃんは、
「良かったぁ~。なぁ!オレがそんな失敗するわけ無いやん」
と言って、すぐにまた平気な顔でセックスを始めた。しかも当たり前にゴム無しで外出しをした。
あ、私やっぱりこの人好きじゃない…とこの時確信した。
ずっと不満はあった。
でも、そんなもんだと思っていた。
私は寝る場所と食べる物を恵んで欲しくて、そして思う存分セックスがしたくて、シブちゃんと付き合うことにしたのだ。
シブちゃんが好きで、シブちゃんに恋していた訳じゃない。
寝る場所と食べる物が確保出来ている今、シブちゃんと付き合う意味はセックスだけだ。
実際私達は、デートすらしたことが無かった。どちらかの部屋でヤルだけの関係だった。
しかし思えばセックスも不満だらけだった。
いつからか、手抜きになったなと感じていた。キスもしない。服も下だけ脱がされて、前戯もほとんど無く、即入れ即出し(しかも避妊無し…)、正直全く気持ち良いものではなかった。
「私達、恋人って言うよりセフレみたいだね。というか、シブちゃんにとっての私ってダッチワイフってやつみたい」
と言うと、
「はあ?サヨはオレの事好きじゃないん?」と聞かれ、
「うん、多分別に好きじゃない」
と答えると、
「もう終わりやな」
と言われ終わった。
後日、勝手にウチに置いていった荷物がじゃまだったので取りに来てもらったら、
「引き留めるんやったら、今やぞ」
と言われ、情けなさに笑った。
こんなバカな男でも、もし本当に妊娠して、プロポーズされたら結婚しようと思っていた自分を笑ったのだ。
分かっている私も充分バカだ。
「結構です。お引き取り下さい」
と丁寧にお断りした。
バカみたいにキラキラした日々は、あっという間に終わった。
そしてあっさり私はまた、ドロドロの苦痛に満ちた日々に戻っていった。
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