23 学校、バンド、青春!

 中学2年の夏休みを目前に控えた2000年7月に家出して、戻ったり、また出たり…。


 紆余曲折、色々あったが同年11月、取り敢えず私の家出は一段落着いて終了した。

 

 そしてユカリちゃんとの2人暮らしが始まった。

 

 それは、今までの苦痛に満ちた人生とは一転してご褒美のような、楽しい毎日だった。

 

 親が用意してくれたのは、大阪城のすぐ近く、森ノ宮にある、小綺麗なワンルームマンションだ。

 

 廊下と兼用の小さすぎるキッチンに、ユニットバス、その奥に六畳ほどのフローリング、と部屋は狭かったが、2人暮らしは思った以上に快適で楽しかった。

 

 ユカリちゃんは、私が何を言っても、何をしても、いつも肯定してくれた。

 

「サヨは、本当に可愛いな」

「すごいな」

 と褒めてくれるのが嬉しかった。

 

 夜遅くまで、時には朝まで、色んな話をした。

 

 シブちゃんより、本当はユカリちゃんが好きだった。

 

 ユカリちゃんが男だったらいいのにと本気で思っていた。

 

 ずっとずっと一緒に居たかった。

 

 でもユカリちゃんは忙しい人だった。

 実家の借金を返す為、バイトを掛け持ちでいくつもしていたし、カワちゃんという恋人と、私以外にも沢山友達がいて、帰って来ない日も多かった。

 

 そんな日は、シブちゃんの家に泊まりに行った。


 シブちゃんは心だけじゃなく、身体も満たしてくれる。

 シブちゃんとの時間も掛け替えの無い大切なものになっていた。

 

 転校先の地元の中学も、思いの外、快適だった。


 私立の子達と違い、変なプライドみたいなものがなく、素直な良い子ばかりだった。


 お弁当を食べる時や、グループ分けなどで溢れない程度に仲の良い友達が直ぐに出来た。

 

 そもそも成績も友達も、もうどうでも良いと思っていたから気楽だった。

 

 学校生活は、2人暮らしをする為の仕事だと割り切って考えると、おさわりもノルマもなく、天職だと思えた。

 

 バンドも色々な新しい体験が出来て楽しかった。

 年明けに初LIVEをすることが決まり、週一ほどで、スタジオを借りて練習をした。


 練習が終わったら、ウチでメンバーとご飯を食べて騒いだ。

 

 今、考えると私の青春はこの時だったんじゃないかと思う。


 何もかもが、楽しくてキラキラしていた。

 

 でも、それは短いものだった。

 

 2001年が明けて、初LIVEがグダグダの大失敗に終わった辺りから、徐々に雲行きは怪しくなっていった。

 

 そして、私はまた例の地獄にズルズルと落ちて逝くことになる。

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