21 初めての彼氏彼女

 まさか初めてあった男の人と、次の日から一緒に暮らす事になるなんて、家出少女の日常は本当に無茶苦茶だ。

 

 でも正直嬉しかった。皆がカッコいいと言う人が私に好意を抱いてくれている。

 しかも9歳も年上の大人の男の人だ!


 反対するかと思っていたユカリちゃんも、「まあシブちゃんなら任せても大丈夫か」

 と言うので、私も特に不安に感じることはなく、しばらくシブちゃんの家にお世話になることがあっさり決まった。

 




 シブちゃんは、お父さんと高校生の妹さんの3人で大阪駅のお隣、福島駅の近くに暮らしていた。

 お母さんは早くに亡くなったらしい。

 

「この子、家出少女やねん。心配やからしばらくウチで保護するわ」

 と普通に家族に私を紹介したシブちゃんにもびっくりしたが、


「ふーん」

 とほとんど無反応なお父さんと妹さんにもびっくりした。


 シブちゃんの家にいた間は、トイレとお風呂意外ずっとシブちゃんの部屋にいた。だからほとんど2人と顔を会わせることはなかった。

 

「オレはリビングで寝るから、サヨはオレの部屋で寝て」

 と言われたけど、


「1人で眠るのが怖いから、シブちゃんがイヤじゃなければ、一緒に寝て欲しいです」

 とお願いしてみる。


 じゃあ、と一緒に寝て、やっぱりセックスをした。


 行為をする前にシブちゃんに、

「付き合ってない子とするのはイヤやねんけど…。サヨは、オレの事好き?付き合うって事でいいんかな?」

 と聞かれた。


「まだ、分からないけど…。嫌いではないです」

 と答え、それで多分私たちは付き合う事になった。

 

 私は恋とか愛とかいうものが、どうも良く分からない。

 先輩をどれほど好きだとか、芸能人の誰々を死ぬほど愛してるだとか、友達が言うのをなんとも冷やかな気持ちで眺めてきた。


 絶対にこの人だけ!とか、私達は運命で結ばれているんだ!!とか、片時も離れたくない。死ぬまでずっと一緒に居たい♡

 なんて思える日は一生来ないよな気がした。

 

 私が男の人と一緒にいたり、付き合ったりするのはただ互いの利害が一致していると思うから。

 

 本やテレビの観すぎで理想が高過ぎるのだろうか。

 私の思う恋や愛は尊すぎて、この人とならと、本気で思える人にはなかなか出会えなかった。

 

 シブちゃんは、当時の私にとっては非の打ち所のない人だ。

 この人なら好きになれるかもしれない、好きになりたいと思った。


 色んな話しをして、何度も何度もセックスをした。


 少しづつ心が戻って行くのを感じる。連日強く抱き締めて貰いながら眠った。


 彼と眠ると悪夢を観ないで済んだ。それだけでどんなに救われたか…。

 

 3日後、ユカリちゃんとカワちゃんが来てくれ、私の今後について相談した。

 

 私を含め皆の意見は一致していた。

 

 このままで良い訳ない。私は14歳で、捜索願も出ているらしい。虐待されているわけでもない。

 

 実家に帰るべきだ。わかっている。でもどうしても帰りたくないと言うと…。


「じゃあ、ウチと2人で暮らそうか?」

 とまたもや、ユカリちゃんが思いがけない提案をくれた!

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