12.5 満ち足る

 余談だが…。

 コタニ君とした後、本当にセックスの概念が覆る様なすごい体験をした。

 

 そこに彼が居なくても、確かにその身体を感じ、一人きりでも、どこにも触れなくてもイケるようになったのだ。

 

 コタニ君と初めてセックスをした翌日、私は自室で一人、その行為を反芻していた。

 

 コタニ君の冷たい手がココに触れて、熱い吐息がソコにかかり、ヌルッとした舌がアソコに…。

 

 思い返すだけで濡れていた。

 堪らなく疼き、自慰行為をしたくなる。

 

 でも、せっかくコタニ君の感触が残る身体をたとえ自分自身でも触って汚したくなかった。

 

 必死に衝動を耐えて、目を瞑り、シーツを握り締めると、コタニ君が私を見つめているような気がした。


 緊張で身体が震える。

 乳首がツンと下着に触れてビクッとなる。

 

 コタニ君の視線が舐めるようにゆっくりと私の身体をなぞる。


 その視線の先がくすぐったくてゾクゾクする。


 口唇から首筋へ、胸へ、腰へ…。

 少しずつ下がり、ついに…。

 と思ったら、また口唇からやり直される。

 

「ジラされるとたまらない?」


 あの時と同じように、少し息の荒いコタニ君の甘い声が熱く耳の奥をくすぐり頭がクラクラした。

 

 卑猥な視線と、厭らしい手と、しつこい舌とで…。

 

 右も、左も、表も、裏も…。

 

 触れるか触れないかのギリギリ表面と…。

 

 奥の奥まで…。

 

 甘くやさしく、時に激しく強く刺激され、呼吸を忘れる…。

 

 苦しくなり息を吐くと全身汗だくなことに気付く。

 

 熱い…熱い。もっと…もっと。

 

 独りでにアソコがギュッと締まる。


 粘膜で粘膜が刺激され、きついほどにギュウギュウ締まり続け、あまりの快楽に声が漏れそうになる。

 

 隣室の家族に聞こえないよう、ぐっと堪えるとコタニ君のせつない声が聞こえた。

 

「あぁ…そんなに締めたら…っ!」


 もうココにコタニ君の重みや汗の匂いまで感じた。堪えきれずアソコがビクンビクンと波打ち腰が動く。


(うん。うん…私も、

 もう…もうっ!!!!!!……………)

 

 

 それは衝撃的なすごい体験だった。

 

 むぅっっっっっっっっっちゃくちゃ気持ち良かった。

 

 

 残念な事に実際にコタニ君とした時よりも断然深い快楽で、2度目にコタニ君とした後はちょっとがっかりしてしまった。

 

 私は大人になった現在、日常的にヨガで瞑想をしているが、その感覚に近いものを感じる。

 

 実際にヤっている最中の気持ち良さは震える様な快感と、静かな安心感とで全然違う。

 

 でも終えた後、共にむちゃくちゃ気持ち良くて、そして全てとの一体感が残る。


スッキリする。満ち足る。

 

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