12 家出少女の進路
14歳、中学2年の夏。
私の夢は最高のセックスをする事だった。
だがその悲願は、まだまだ達成出来そうにない。
家出中に知り合ったコタニ君は良い人だ。
だけどなぜか全く恋愛感情を抱けない。だから彼と最高のセックスが出来る気はしなかった。
一応試しに家出から帰宅して3日後くらいに、またコタニ君の所に遊びに行ってセックスをしてみた。
前回は未成年の家出少女とスルなんて良心が痛むと断られたが、今回は家出少女じゃなくなったからか、それともなにかが外れたのか、案外あっさりコトは始まった。
コタニ君はサカイ君よりよっぽど上手だった。
だからたくさん発見があり色々感動もした。私の夢はコレで間違いない!と確信させてもくれた。
だけどやっぱり彼じゃない。
少女マンガの読みすぎだろうか、私はもっと『運命的で熱い恋』というものがしてみたかった。
そしてその相手とするセックスはきっと最高で、私の人生の全てをかける価値があると思った。
だが、今まで通り学校と家の往復だけの生活ではきっと私の夢は当分果たされない。
なら、どうしようか…。
「沖縄のフリースクールに転入して、向こうの寮に入らないか」
唐突に母から提案があった。
「学校に行きたくない。家にも居たくない。なら寮の有る学校はどうかと思って…試験が無くて今からでも行けるのはフリースクールくらいかと調べたら、沖縄にちょうど良さそうな所があるから行ってみない?」
と言うことだった。
母はこのように一見、寛容で思いやりの有るようなことをよく言う。
だけど、私にとってそれはいつでも見当違いで、親である責任感と見栄とを満たすための、価値観の押し付けのように感じた。
だって、私は学校に行かなくなった理由も、家を出た理由も、母に話してはいなかったし、ちゃんと聞いてくれようともしなかった。
今回も彼女は、何も知ろうとはせず、分かろうともせず、ただ、沖縄のフリースクールに子供を通わす、理解のある、寛大で優しい親を演じているように見えた。
彼女の理想とする素敵な我が家から厄介物を追い出そうとしている気がした。
しかし私は今回もとりあえず母の案に乗ってみることにした。
正直他に何も思いつかなかった。
それにとっとと『ここではないどこか』に行きたかった。
私は中学2年の1学期、母の勧めで受験した私立の中学を辞め、2学期から単身、沖縄のフリースクールに入学することになった。
そこはあの沖縄の大スター養成所と提携した自由な校風のフリースクールで、学校の目の前には青い海と白い砂浜が広がる夢のような場所である。
…らしかった。
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