2 私が死んだ日
あの日、私は死んで、家を出た。
屋上に走り出て、手すりに手をかけたその時、あまりの空の広さに、そしてその美しさに、全身の力が抜けて、思わずごろりとコンクリートに寝転がってしまった。
こんなに世界は広いのに、こんなに心地良く美しいものがあるのに、私はまだ何も知らない。
生きる事に絶望して死ぬには、まだ早すぎるんじゃないか。
「どうせ死ぬならセックスしてから死にたいな…」
無意識に呟いた言葉に我ながら笑い、希望が見えた気がした。
よし、今までの小さな世界、小さな自分は捨てよう。
過去の自分をここで奈落の底に突き落とし、私は広い大きな世界を見に行こう。
そして、セックスをしてみよう。
誰かに愛し愛され、ぎゅっと抱き締め合ってみたい。
放課後、私は覚えている限り初めてわくわくしながら家に帰った。
そして、2日分の着替えと、コンタクト、財布。それだけをカバンに詰め、家を出た。
向かったのは、家からたった徒歩15分。
大阪ミナミのグリコの横の歓楽街だった。
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