第45話白熊おろし

「ウッ、アァアー!」


「篠山さん!」


真理亜が様子を伺うが、呼吸良し!


体温良し!


脈拍良し!


「篠山さん・・・気が付かれましたか?」


「良かったです。立てますか篠山さん?」



真理亜が篠山の左腕を真理亜の左肩で支え右手を篠山の腰に廻して、強く引き上げた。

 小沢といえばオドオドした様子で真理亜の所作を眺めるしかなかったが、気丈にも勇二の手紙を失くさない様に4つに折りたたみ封筒の中に入れて上着の内ポケットに仕舞い込んだ。


 やっとの事で立ち上がった篠山は、勇二の言う優しい感覚をこのように看護婦須崎八代に優しく支えられての事だったに違いないと、改めて、曲り角勇二内閣総理大臣に接見してこのクリニックの不思議な体験を報告しようと想っていた。


 春一番が白熊クリニックから吹き降ろす。


 真理亜と篠山が顔を見合わせ、屈託なく笑い合っていた。

 

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