第30話いいなずけは活きていた!

 篠山の許嫁は、実際に存在していてその人は、かなり高齢者だという事だったが若い内から約束を守り通す性格で恋人も持たなくて結婚もせず、篠山との約束事と独身を貫き通したという。


「残念ながら直美お祖母ちゃんは、地元の資産家で、有力者からの紹介があり、白熊病院看護婦の存続の為に見合いを断り切れず渋々と、見合い結婚をして私達、玄孫(やしゃご)を3人もうけて居ます。」


務めの為に己を犠牲にする同期の桜の様だ・・・。違う世界に行くことで生き甲斐を見つけたのだろう。素晴らしい事だ!


篠山は歩きながらそれを高橋真理亜から聴き、感銘を受けた。


 篠山が、会いたいと懇願すると、「認知症で、施設に入って誰にも会いたがらないのです。」


 落胆しているのだな・・・。自分と同じく。


篠山の隣り合わせに直美の心持が息づいている様だった。


 直美の落胆に身をもって体験した篠山は、一縷の望みとして、「須崎八代に逢いたい!」

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