第31話再会!「同期の桜」

とダメ元で聞いたが、「白熊病院とは今貴方が入院をしている病院で須崎八代理事長の曾孫の須崎しをん看護師が今、坂の上から患者さんのおじいさんと歩いて来ましたからお聞きになられては?」


歩行器を押しながら近付いて来る高齢者と須崎しをんは手を背中に添えてフォローしながら

歩いていた。篠山が坂の下から立ち止まり真っ直ぐ高齢者を観ている事に気付き目の前で立ち止まった。


「篠山・・・イヤ、中将どの!」


白い輪郭の中は黒い・・・。



逆光の西日が眩しく、歩行器や使用者の高齢男性が、歩行器から手を放して篠山に近付く。かなり日焼けしていた。復員兵といえども日本復興の労働に手を貸していたからだった。


「ミッウドウェー海戦で殉死されたと聴いておりましたが!良くぞ生きて居られました・・・。」


 篠山の両手を取り大粒の涙を零して、オイオイ!と、男泣きに泣いてしみじみと分かり易くスローなテンポで語る・・・。


直立不動の高齢者は小沢と名乗った。


 開戦から敗戦までをハイライトで語る小沢の饒舌ぶりを立ち止まったままで、聴いていた。

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