第4話リメンバーパールハーバー!

 若く見える顔・・・。


と、言い掛けたが東方の幹線道路から大型トラックのクラクションがそれを制した刹那、マジマジと犬太を見詰め眼をパチパチとさせた高橋直美(たかはしなおみ)と、それを見返す曲り角犬太(まがりかどけんた)は白熊病院が提供した夏虫色のパジャマを着ていた。


 令和6年4月、白熊病院のパティオには、桜が咲き誇る。


 満開の桜の木々が処せましと、外門を出て坂道を下る通用口には、桜モールと呼ばれてその並木道を通ればチラチラと雪の様に桜吹雪が通る恋人達を祝福するかの様に舞い堕ちていた。


 昭和16年にはまだ日本にリベンジという言葉は延っていなかった。


 ましてやアメリカには、「リメンバーパールハーバー!」


という呪いの言葉が合衆国本土に席巻していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る