第3話Gー1.0の意味
「でも「G-1.0」の意味がラストシーンで、理解出来たわ。」
両腕を伸ばしてピンクのポーチを持ち紺色のカーディガンが、この季節に映えていた。
「ラストまで観たのか、最後まで言うなよ!?」
「アラ!1回も鑑賞していなかったの?」
不思議そうに斜め右に見上げた。
「1回も観ていないのにあんなに偉そうな事を言っちゃって!バーカ。」
ケラケラと笑う女に「ゴメン知ったかぶりでしたー。」
ペコリと頭を下げた。身体に荷重が掛からない様に杖を前方にやり三角形を作って頂点で荷重を受け、また杖を身体の右横にして一歩、二歩と歩みを進めた。
「ヨシ!許してやろう。」
「ケンくんのそう言う所が好きよ?」
エヘヘと、照れ笑いをした犬太の顔をまじまじと見詰めて。
「嘘でしたー。」とやにわに犬太の左手を取りつつ、直美の腰に回して直美の右手は犬太の腰に廻した。
直美の見上げる視線の彼方には犬太の剃っていない髭の生えた顎のラインと遥か向こうに白い雲を見下ろす青空が地上の二人を包んでいた。
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