謎に惹き込まれる。
- ★★★ Excellent!!!
まず、序文で自分の心に訴えかけてくる文章に胸中を射抜かれた感覚でした。人は様々な記録を体感し、所有し、共有する。その記録の中にある膨大な情報量は未知数で、涅槃を得た人間であってもその全容を知ることは不可能でしょう。
その後に続く「記録の中」のストーリーの展開は、この世界の日常的なことや「この世」以外のパラレルワールドにまで及ぶ記録があり、またそれを「記録」している者がいるという結末に、非常に上手く繋がっていたと感じます。
「記録者A」が一体何者なのか。最後まで明かされない謎と、我々という存在を超越し、明かされてはいけない壮大感にワクワクさせられました。