第3話 オッパイ仲間の行方

 麻美ちゃんと咲ちゃんの“オッパイ仲間”になった私と春菜ちゃん。私はなる気なかったけど、流れでそうなっちゃったよ…。


詳しくは昼休みに色々話してくれるみたい。どんな話になるのかな?



 昼休みになり、私・春菜ちゃん・麻美ちゃん・咲ちゃんの4人は、一緒に教室でお弁当を食べる。


「大宮さんと寿さんは、オッパイのために何かしてる?」

咲ちゃんが訊いてきた。


「胸のために? 何もしてないよ…」


「ウチも!」


「そっか。なら“バストアップマッサージ”を始めてみない?」


「どうやるの?」


春菜ちゃんは興味津々だ。私と違って、本当に胸を大きくしたいのかも?


「言葉で説明するのは難しいわね…。麻美、どうすれば良いかな?」


「あたし達がやってるのを動画にして、2人に見せれば良いんじゃない?」


「それは良いアイディアだわ。今日の夕方か夜に送るから、楽しみにしててね」


「わかった。ありがと~」


「ありがとう…」

送ってくれるんだし、ちゃんとチェックしておこう。


「“バストアップマッサージ”は、できれば誰かにやってもらったほうが良いのよ。大宮さんと寿さんは、そういう人いる?」


今度は麻美ちゃんが訊いてきた。


「ウチは妹にお願いしようかな」


春菜ちゃん妹いるんだ。もしかして2人はレズかも?


「私は無理かな。お兄ちゃんだから…」

お母さんは忙しいから、頼む気にならない。


「いくら兄妹でも、男の人は厳しいわよね…」


「ちょっと待って麻美。だいぶ前に、アタシかアンタのお姉ちゃんが言ってなかったっけ? 『男の人にマッサージしてもらうと効果倍増』って」


「言ってた気がする。大宮さんはお兄さんと仲良い?」


「どうだろう? 普通に話すぐらいかな…」


「お兄さんがシスコンじゃなければ、お願いするのもアリね」


そもそも私は胸を大きくする気はないし、お兄ちゃんに触られるのはさすがに嫌だ。やるなら1人だね。



 それから放課後になり、私はまっすぐ帰宅する。高校はバイト禁止だし、できたとしても私に出来る仕事があるかどうか…。


なんて事を考えてる間に家に着いた。やっとゆっくりできるよ…。


「ただいま~」


玄関で靴を脱いでる最中に、お兄ちゃんが階段から降りてきた。私の声が聞こえたのかな?


「おかえり。夢、着替え終わったら俺の部屋に来てくれ」


「何で?」


してもらうためさ」


そう言うお兄ちゃんはニヤニヤしている。理由は絶対アレだね…。


「わかった。後で行くよ」


「待ってるからな。絶対来てくれよ!」

それだけ言って、お兄ちゃんは階段を上がっていく。


今日の事、正直に言ったほうが良いのかな? 悩むよ…。



 自室で着替え終わった後、私はお兄ちゃんの部屋をノックしてお邪魔する。入ってすぐ、朝と同じを感じた。


…ううん、朝と同じじゃない。朝よりニオイがキツイよ。ニオイの元はどこなの?


「キョロキョロしてるが、ゴミ箱は関係ないからな」


お兄ちゃんにそう言われたので見ると、たくさんのティッシュが捨てられている。鼻炎って感じじゃなさそうなのに…。


「そんな事より、俺の隣に座れよ」


「うん」


ベッドのふちに座っているお兄ちゃんの隣に座る。



 「夢、周りの女子はレズにハマってなかったか? 些細な事でも良いから教えて欲しい」


やっぱりこの話だったね、すごくわかりやすいよ。でも“オッパイ仲間”の事は言わない方が良さそう…。


「頼む! 包み隠さず話してくれ! 俺に出来る事は何でもするから!」


とか言われても、お兄ちゃんにして欲しい事はないかな…。このまま見つめられるとうっとうしいし、考える前に話してしまおう。


「登校する時に、手を繋ぐ小学校低学年の女の子がいたよ」


「その子達はレズだな! 小さいのに感心だ!」


何が感心なの? 訳が分からないよ…。お兄ちゃんの目は『次は?』と言ってる。


「電車に乗ってる時、イヤホンを半分こしてる女子高生がいたね」


「その2人もレズだ!イヤホンの貸し借りって“間接キス”に近い気がするぜ!」


「知らないよ…」


お兄ちゃんがこんなに変態だなんて思わなかった。これから距離置こうかな…。


「他は?」


「高校の渡り廊下とかで、ボディタッチしてるところを見かけたかな」


「お前の高校は女子校だったな。自然を装って、おっぱいとかを触り放題じゃないか!」


1回だけでも怪しいのに、何度もできる訳ないよね…。バカバカしいからツッコまないけど。


「他はないか?」


「ないよ」


やっぱり“オッパイ仲間”の事は言わない方が良さそう。今のお兄ちゃんが知ったらヤバい気がするから。



 話に区切りがついてお兄ちゃんの部屋を出ようとした時、私の携帯が鳴る。気になるからすぐ確認しよう。


「誰からなんだ?」


「麻美ちゃんと咲ちゃんだよ。“バストアップマッサージ”の動画を送ってくれたの」


「何だと!?」


訊かれたからつい言っちゃった! 私のバカ!


「夢、その動画を見せてくれ! 頼む!」


お兄ちゃんが興味を持つのは当然だよね。何とかしようにも、肩を掴まれてるから逃げられない。


「わかったけど、余計な事しないって約束してくれる?」


「ああ。動画をコピーしないし、つぶやいたりもしないぜ!」


「信じるからね…」


私は再びお兄ちゃんのベッドのふちに座り、動画を再生させる…。

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