第4話 バストアップマッサージを知る
お兄ちゃんの隣で動画を再生される私。どういう内容になるんだろう?
『麻美。これで良いのかな?』
咲ちゃんの声が聞こえるけど、2人の姿は見えない。それより気になるのは、画面が揺れてて安定していない事だ。何をしてるのかな?
『固定が甘いわ、咲。それだとすぐスマホが落ちると思う』
なるほど、固定しようとしてるから画面が揺れてるんだね。だったら固定し終えてから録画すれば良い気がする…。
『…ちゃんと固定したよ』
『咲、ちょっと待って。もう録画されてるじゃない!』
『あっ…』
わざとじゃなかったんだ。画面を録画直前まで準備したけど、固定する時にうっかり起動しちゃった感じかな?
『でも面倒臭いから、このままで良いよね?』
『…そうね。明日、大宮さんと寿さんに謝らないと』
私はそんな事、全然気にしないよ。麻美ちゃんは真面目だね。
……2人がようやく姿を現し、そのまま床に座る。その状態で2人の全身が映るって事は、スマホは低い机に固定してるみたい。
『大宮さん・寿さん、ちゃんと映ってるかしら?』
麻美ちゃんが問いかける隣で、咲ちゃんは笑顔で手を振っている。
『今からアタシ達がいつもやる“バストアップマッサージ”を見せるからね』
咲ちゃんがそう言った後、2人は上だけ脱いで生の胸を見せる。
「おぉ~! この2人、おっぱいでかいな~!」
隣にいるお兄ちゃんがニヤニヤしながら見ている。私もそう思うけど、だらしないお兄ちゃんにすごくイライラするよ。
「どんなバストアップマッサージになるか楽しみだぜ」
「あのさぁ、見るなら黙って見てくれる?」
「はいはい」
『最初はあたしがマッサージされるほうね。咲、お願い』
『了解』
咲ちゃんは麻美ちゃんの後ろに回り込み、腕を伸ばして麻美ちゃんの胸を揉む。
『いつもは向かい合ってするんだけど、そうすると撮影しにくいから後ろから揉むね』
「向かい合ってやれば、恥じらう様子が見られるな。わかってるじゃないか」
お兄ちゃんの独り言は無視するとして、これからどうするのかな?
咲ちゃんはひたすら麻美ちゃんの胸を揉んでいるように見える。簡単なマッサージみたいで安心したよ。
『ただ揉むだけじゃダメだよ。力加減はもちろん大切だし、オッパイの揺れ方も意識してね』
麻美ちゃんの後ろで揉んでいる咲ちゃんが言う。胸の揺れ方は何となくわかるものの、力加減は動画じゃよくわからないな…。
「だそうだぞ、夢」
「いちいち確認しなくて良いから!」
お兄ちゃん、わざとなのかな?
『咲、そろそろ交代しない?』
『そうだね』
麻美ちゃんと咲ちゃんは交代して、同じ事をする。…麻美ちゃんも手慣れてるな~。咲ちゃんとの差を感じない。
「女子同士でおっぱいを揉み合ってるところを見れるなんて最高だぜ」
お兄ちゃんはずっとニヤニヤしながら動画を観ている。過去に戻って、口を滑らせた私に念押ししたいよ…。
2人は気が済むまで揉んだのか、マッサージの手を止める。
『大体こんな感じよ。気になる事があったら何でも訊いてね』
そう言ってから麻美ちゃんは立ち上がり、スマホに触れる。それからすぐ画面は暗くなった。録画を終了させたみたい。
「気になる事か。俺は早速浮かんだぞ」
麻美ちゃんは、お兄ちゃんに言った訳じゃないんだけど…。とはいえ、気になるから訊いてみよう。
「何が気になったの?」
「あの2人、互いの〇首に触れてなかったよな? それだけが唯一の不満だ!」
訳が分からない事を言い出した。お兄ちゃん、昔はまともだったと思うのに…。
「マッサージなんだから、触らないのは当然でしょ?」
「何言ってるんだ? 〇首に触るのはレズの第一歩だろうが。それをきっかけに関係が始まるのさ」
「……」
なんて言えば良いかわからないや。
「今は動画のために我慢してたと思っておこう」
勝手にそう思っていればいいんじゃないかな? 何も言うつもりはないよ。
「そういえば、“バストアップマッサージ”と聞いて気になってた事があるんだ」
「何? ふざけた事言わないでよ?」
「多分真面目な内容だ。…この動画をお前に送ってきたんだから、お前はおっぱいを大きくしたいんだよな?」
「……話の流れでそうなっただけで、気持ちは0じゃないかも」
麻美ちゃん・咲ちゃんの胸を観て、羨ましい気持ちが少しあるからだ。
「そうかそうか。なら俺が、お前のおっぱいを揉んで大きくしてやろう」
「兄妹でもセクハラは成立するのは知ってるよね?」
言って良い事と悪い事があるよ!
「そんな怖い顔するなって! お前を応援したい一心なんだ!」
「とてもそうは思えないけど? 本当の事を言わないと、お母さんに言うよ?」
「それだけは勘弁してくれ! …“棚ぼた”を期待したのさ」
「棚ぼた? どういう事?」
「お前がおっぱいを武器に、彼氏をGETする。俺はそいつの姉か妹と仲良くなって付き合うという寸法さ」
ずいぶん自分勝手な事だね。
「もしその人に、お姉さんか妹さんがいなかったらどうするの?」
「そんな奴とは付き合わないで欲しい」
いくら何でもめちゃくちゃだよ…。
「さっきの2人の揉み方を見るに、マッサージは2人でやった方が良さそうだろ? お前のために協力したい気持ちは少しあるんだ。本当だぞ」
「だとしても、お兄ちゃんに胸を触られたくないからダメ」
「そうか。この動画を見せてくれた礼はしたいから、遠慮なく頼ってくれよ」
「はいはい」
そんな時は来ないよ。私はそう思いながら、お兄ちゃんの部屋を出るのだった。
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