第17話 エキゾチックダンス

「ルルージ、タレンジ。悪いけど、ラウルさんに同行してくれる?」


 どちらも面倒見のいい性格で、姉みのあるルルージ。妹みがあるタレンジ。なかなかいいキャラみを持っていた。


「ええ、わかったわ」


「任せて」


「頼りになる二人で頼もしいよ。もし、悪さするアホが現れたら相手の目を見てバルセと唱えて。時間とともに命を減らして行くから。暗いときは相手を触ってバルセと唱えればいいから。外傷は残らない安心して」


 アーカラスの町も刃傷沙汰はご法度。うちのお嬢に手を出すヤツは死の恐怖を感じながら天に召されろ、だ。


「……これ、そのために持たせたの?」


「他にもあるけど、その腕輪は旅立つとき以外は絶対に外さないこと。無理矢理外されそうになったら幻影が抜けたように見せるから安心して」


 腕輪に籠めた魔法はたくさんある。お陰で寝てばかりだったよ。


「欲しいものがあったら買っていいからね。この鞄なら十倍くらい入るから」


 肩かけ鞄と金を二人に渡した。


「じゃあ、よろしくね。たぶん、出発のときはぐっすり眠っていると思うから気をつけて行って来てね」


 寄りかかっているルーに埋もれ、そのまま深い眠りについてしまい、起きた頃にはルルージとタレンジは旅立っていた。


「無事帰って来てくれるといいんだけどね」


「神には祈らないんだね」


「神に祈るくらいなら死んだほうがマシだ」


 不覚にも死んでしまったときは必ず神に向けて中指を立ててやる。絶対にな!


 眠る日が続き、やっとこさ日常生活に戻れた頃、屋敷に舞台ができたことを報告された。


 ルーを連れて向かってみると、まあまあの舞台だった。


 まあ、小遣い稼ぎの舞台だし、こんなもんで構わないか。


 舞台の周りに柵もできており、外から見られることもない。見張りを立たせれば中の様子を探られることもないだろうよ。


「ここでなにをするの?」


「モテない紳士たちに女性の美しさを見せてやろうとしている」


 ここで暮らして半年、いや、六ヶ月になるかな? 眠っているほうが多いから三ヶ月くらいしか感じてないけどさ。ってまあ、それはどうでもいい。その間で男女のおせっせ事情は酷いものだった。


 この町にも娼館はいくつかあり、アーカラスの町よりはマシってくらいのもの。まだ野郎が金を持っているから清潔を辛うじて保っている、ってところだ。


「うちのお嬢を安売りしたくはないんだけど、無名では客は来ない。お嬢たちの美しい肉体を見せてルガル中に知らしめてもらうとしようじゃないか」


 勘のよろしい紳士たちは察していたでしょう。そう。ストリッぷ~な劇場をやろうとしています。


 行ったこともねーオレに仕組みはわからんが、音楽に合わせて踊り、衣服を抜いていけばええやろう。失敗したらまた違う方法を考えたらいいのさっ。


「いきなりやれってのも酷だから何日か練習しようか。楽器、手に入れられるかな?」


 まあ、そこは創造魔法でなんとかなるか。どうとでも対処できるように選んだのが創造魔法だからな。楽器くらいちょちょいのちょいよ。


 館に帰ったらハルガに相談。すぐに楽器を手に入れてくれた。


「バリュールとバンダです」


 ギターみたいなのと太鼓だ。祭りに使うものらしいく、灰竜族も使うというのでバリュールを教えてもらった。


 弦は三本なのでそう難しくは……あるな。まあ、弾けるヤツの技術をコピーすればオールオッケー。てか、音楽の才能を開化さればよかっただけだったわ。


「もう覚えたのね」


「エクラカ。ぼくにも教えてくれ。前からやってみたかったんだ」


 興味があったようでバリュールを教えたら一日もしないで覚えてしまった。これが才能というヤツか。どんな才能を秘めているかわからんものだな。


 うろ覚えの歌を教えたら独自に改編して一曲創ってしまった。こいつは商人より楽士になったほうが大成しそうだな……。


「誰か歌姫やらない? 体を見せて歌を魅せる。盛り上がると思うし、枕元で聴かせてやるのもウケると思うんだよね」


 てか、皆に歌を覚えさせるとしよう。綺麗な声が出せるようにしておこう。


「まあ、無理強いはしないよ。興味を持ったらでいいから」


 向き不向きはあるもの。得意を伸ばす方向で行かしてもらうさ。


「レイルス、カルクは踊りの練習しようか」


 オレたちに与えられた部屋を舞台に見立て、どう踊ってどう魅せるかを研究する。


 最初はあまり過激なものにはしない。ストリッぷ~がない世界。いや、転生者がいるなら誰かがやっているかもしれないが、ここでは聞かないのだからエキゾチックダンスってことにしておこう。ストリッぷ~は直接的だしな。


 三日くらいやるとレイルスもカルクもわかってきたようで、オリジナルを求めるようになった。


「他の皆にも意見も聞いてみるか」


 一演技十五分として皆に見てもらった。どや?


「下は見せないの?」


「あまり過激にしたくないからね。パンツを穿くとしよう」


 ここら辺、パンツは穿かない。布を巻くだけ。それじゃ色気がないからてくちーなパンツとブラを作りました。奥様が気に入ったのが想定外だったけど……。


「こうなると服を作れるのも欲しいね。今度連れて来るお嬢には裏方をやってもらうか」


 まずはこの七人で挑む。成功したら徐々に増やしていくとしよう。


「隊商が帰って来たらお披露目しようか」


 まずは灰竜族を喜ばせてやるとしよう。ククッ。

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