第5話
### 第一章(続き)
その後、妻の母、義母が家にやってきた。彼女の表情は真剣そのもので、私の心に不安が広がった。私は妻との口論の内容や、彼女の様子を説明した。言葉が詰まりながらも、必死に状況を伝えた。義母は頷きながら、私の話を静かに聞いていた。
「実家にいるよ…」と、義母は呟いた。私の心は重くなった。妻が実家に戻ることは、私たちの関係にとって大きな問題を意味していた。
その後、義母は娘を抱き上げ、優しく微笑んだ。「大丈夫、ママはすぐに戻るから」と言いながら、娘を連れて行こうとした。私はその光景を見て、何も言えずに立ち尽くしていた。娘の小さな手が、義母の腕の中で不安そうに動いているのが見えた。
「お願い、待って!」と叫びたかったが、その言葉は喉の奥に詰まってしまった。娘が義母に連れ去られるのを見ながら、私はただ待つしかなかった。心の中には、妻への愛と不安、そして娘を守りたいという強い思いが渦巻いていた。
義母が出て行くと、部屋には静寂が訪れた。血の滲んだ足と、妻の興奮、そして娘の涙が頭の中で交錯していた。私はどうすればよいのか全くわからなかった。時間だけが過ぎていく。
「戻ってきてくれ…」と心の中で叫びながら、私はソファに座り込み、頭を抱えた。今はただ、妻が冷静になり、娘の元に戻ってくることを願うしかなかった。
その時、携帯電話が鳴った。義母からのメッセージだった。「少し時間を置いて、冷静になってから話しましょう。」その言葉は、私にとって一筋の光のようだった。冷静になる時間が必要なのかもしれない。私は、妻と娘が安全であることを願いながら、心を落ち着けることにした。
---
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます