第34話:地下6階報告

翌朝、会議室に出向くとすでにモニカは席に着いていて、そして疲れた顔をしていた。

「よお、早いな」

「おはようございます。これ、読みましたよ」

昨日手渡しておいたメモは全て読んだようだった。疲れた顔の原因はこれだろうと容易に想像が付いた。

「どうだった?」

「‥‥そうですね、ちょっとにわかには信じられないといったところです。写しを翻訳したものと比べましたが、メモの内容とほぼ一致しました。これがあったのですよね?」

「そうだな、場所は5階の昇降機乗り場から近くにあった、専用の鍵を使わないと入れないエリアにあった階段の先、6階だ。ここに関しては俺たちも言いたいことがいろいろとあってな。ただどうしたって話が長くなるし複雑だ。先に他の話を済ませよう」


6階で倒した魔物はオークが4体、グールが3体。加えてグールの餌となっていたラットとスネークの魔石がある。

得られた物はオークの使っていたグレートアックスが3本、ジャベリンが1本。それからポーション1本、スクロールが1巻、土ごと持ってきた花、魔物のものと思われるひものようなもの、鍵1本、おがくず少々。

地形としては水の流れ落ちる吹き抜けの存在。そしてあのガラス壁の向こう側。

「グレートアックス、ジャベリンは今までどおり普通のものです。普通という意味ではこのおがくずも、木を削ったことによってできたくずということで、普通のものですね」

「そこまでは想定どおりだな」


「次にポーションですが、グロウズ・ポーション。この液体を飲むと1分間大きくなる。縦、横、高さは全て2倍に、重量は8倍になる。2倍に大きくなれるだけの空間がない場合は、その空間に収まる最大の大きさまで大きくなる。着用ないし運搬している全てのものもその対象である。はい、よく分かりません。効果絶大なのでは?」

薬を飲むと大きくなる。まあ分かる。なぜそうなるのか理解はできないが意味は分かる。問題は着用、運搬しているものも大きくなるようだということだろう。

「これを飲んだら武器も大きくなるんだよな? いいのか、それ?」

「言っていることは分かるのに何を言っているのか分からない気持ちなることってあるんだね」

扱いに困るポーションということでいいだろうと思われた。これを飲んで敵陣に突入すれば人対ジャイアントの構図を作れるということなのだ。効果時間が1分と短いことは言い訳にもならないだろう。そんな薬は扱いに困る。冒険者にとっても、ダンジョンの中でこんなものを飲めば身動きが取れなくなるだけだろう。その間に魔物に襲われたらどうすればいいのか。そんな薬は扱いに困るのだ。


「次です次。スクロールなんですが、えー、グッドベリー。手の中に最大10粒のベリーが現れる。これらの実には魔力が宿り、1粒食べれば1ヒットポイントを回復する。かつ、この1粒には人が1日生きられるだけの栄養が含まれている。これらのベリーは呪文発動から24時間以内に食べなければ力を失ってしまう」

「‥‥いいわね。使いどころがいろいろと思いつくわ。これはいいものよ。でもやっぱり知らない魔法だったわね」

1日生きられるだけの栄養があるという点が特に良かった。24時間以内にと言うのなら、10粒あるのなら、これで10人が1日生きながらえることができるのだ。

問題があるとすればそれはこの魔法がどういうものなのか分からないということだろう。このダンジョンで時折出るこういった魔法は、調べても記録すら見つからないものばかりだった。


「そしてこちらの花ですね。カモガネの花というそうです。花に詳しい者に見せても知らないということでしたが、さすがに花の種類は多いですから仕方がありません。ただ薬効があるようで、全草を干して生薬にすると下痢や腹痛、便秘に効くと。これは薬剤師の組合か錬金術師の組合か、園芸組合と増やすことができないか相談するのもいいかもしれません」

「薬になるってのはいいな。増やせるのなら簡単だが、採取の対象として見ても悪くないだろう。腹の薬ってことなら需要はいくらでもあるからな」

もしかしたら向こう側が発祥かもしれないが、採取できるということはその後どう扱うかはこちらの自由なのだろう。

薬効があるというのならその方面で研究してもらうのは良いだろうと思えた。


「そしてこのひもみたいに見えるものは魔物のひげだったようですね。アボレスのひげ。アボレスという魔物の記録は残念ながら見つかりませんでしたが、このひげを煎じて飲めば皮膚が半透明になってネバネバするようになる病気にかかるそうです。何なんでしょうね。毒薬の元と思っておけば良いのでしょうか」

「効果がよく分からんな。半透明になってネバネバして、それでどうなるんだ? そこが知りたいところだろう?」

「どこかにやる気のある研究者がいるかもしれませんからね。そういう人に任せましょう。ということでこれは競売行きでしょう」

効果によっては非常に意味のあるものだろうが、それがこれだけでは分からない。人体実験が必要なものを競売で落札するつわものがいるかどうかという話になるが、そこは偉い人が考えれば良いことなのでこの場では結論は出さない。

「ただこのアボレスというのは、あれですよね、メモにあった」

「だろうな。そうだろうと思う。もしかしたら7階か8階か9階か、いるかもしれないな」


「さあ終わりましたよ。ここまでは終わりました。さあ続きです。メモの詳しいお話をお願いします」

「分かっているさ。まあこれを言わないと始まらないからな。問題は6階、5階の専用の鍵が必要なエリアにあった階段を降りた6階で発見した場所で見たものだ。そこでな、俺たちは恐らく地下10階だろうものを見たんだ」

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頭を抱えるというのはまさにこういうことを言うのだろう。

6階で見たものを聞き始めたモニカは途中からテーブルに肘をつき、両手で頭を抱えるようにしてその先を聞いていた。

その見たものと、1階や3階で見つかったもの、そしてメモに書かれていた内容を合わせれば何となく状況は見えてくるというものだった。

このダンジョンにはやはり何かの意図があるのだ。それは恐らく6階のそれを見ろというものだろう。メモを発見してそれを読めというものだろう。そしてこの先には恐らく8階のその鍵の存在や、10階の見つけてほしいものや、そして行ってはいけないという門前の広場や、そういったさまざまなものがあるのだろう。

「地下世界、ですか」

「そうだとは言わないが、そういうものだとは考えている」

「そんな伝説、伝承はこの国はもちろんのことリッカテッラにもセラータにもなかったはずです」

「だろうな、俺たちだって知らん。というより勇者の冒険の書でしか知らんよ」

「ああ、そうか。冒険の書。まさにあれなんですね」

勇者の冒険の書には誰もが憧れる冒険が詰まっていた。

大空を行くドラゴン、大海原を行くリヴァイアサン、大地を揺るがすタラスク、無限の死を生きるリッチ、夜の王ヴァンパイアといった伝説の魔物。アダマンタイトやミスリルといった伝説の金属。知性あるアーティファクト。天空の城に深海の城、そして地下深くに存在するという別世界の存在。

今目の前にあるのはその地下深くの別世界だ。地上とは別の世界が地下にはある、そういう物語が今まさに目の前に示されているのだ。

「ちょっと、にわかには信じられないです」

「そうだろう。俺たちだって聞くだけだったら眉唾だよ。だけどな、これはすぐそこにあるダンジョンの話なんだ。俺たちが行って見てきたものだ。しかもだ、ここに5階までの昇降機の鍵がある。6階のその場所へ行くのは実は簡単なんだよ。なあ、見てみたくないか」

そんなもの、見たいに決まっているではないか。

口を開いてはいと答えたかったものの、モニカは右手で顔を覆うようにして下を向いた。確かに見たい。見たいが、いいのか。自分だけが見て、それで納得してそれでいいのか。しかもこのメモの内容だ。6階に現物があるというのなら、その場で読むこともできるのだ。

「そういえば、契約の内容を変えたいというお話でしたね」

「ああ、結局な、俺たちはこの10階を見たいのさ。10階に行ってそこに何があるのかをこの目で見たい。そのためには当然10階へ降りる必要があるわけだが、どうもな、今までの難易度の上がり方を見ていると、ここから先が怖い。しかも出てくるスクロールだとか魔道具だとかの中に、この先と関係がありそうなものがある。こうなると探索中に発見したもので使えそうなものをその場で鑑定して使いたいって話になる。でな、そうすると今の契約だとまずいだろう」

「なーるほど、いえ、わかりました。なるほど。昨日聞いたときにはピンとこなかったのですが、理解しました。あー、それで使わないものは今までどおり引き渡すっていうことなんですね」

「そういうことだ。正直なところ宝石だとか金貨だとかな、探索ではいらないんだよ。そんなものより鑑定のスクロールを売ってくれ。そっちの方が欲しい。それ以外の備品の類いも売ってくれ。セルバ家が置いていった物でもいいぞ、売ってくれ」

クリストが前のめりになって言う。

メモの内容と6階で見たというものとでようやく理解が追いついたと言っていいだろう。そしてもし本当に地下世界があるのなら、正直なことを言えば10階まで行って間違いないかを確かめてほしかったし、10階より先の方がずっと稼げるだろうとも思えたのだ。

だったら、執る手段は決まってくる。

「いいでしょう。とはいえ私の独断で変更はできませんから、支部長にも来てもらいます。それからセルバ家にも話を通しましょう。それで、本当に6階の、それは見られるのですか? 魔物がいない? 1階のラットだけ? それは、確かに見に行けますね。やってみましょうか、少なくとも私は見たい。ドラゴンがマンティコアを? そんなの見たいに決まっています。やりましょうか」

つい興奮して口が早く回ってしまった気はするが、考えはそこへ行き着くのだ。

支部長を巻き込め。セルバ家も巻き込め。そして10階を目指す計画を立てるのだ。


「でだ、ダンジョンのことで話がしたいってことで来たわけだが、何なんだ?」

冒険者ギルドのミルト支部から支部長のアドルフォがノッテ出張所にやってきたのは翌日のことだった。

出迎えたモニカがまあまあとアドルフォを会議室へ通す。あとはセルバ家から誰か来てくれたら話が一度で済むのだが。

会議室にはすでにクリスト達がいてアドルフォとあいさつを交わしていた。

モニカはそのまま外に立ち、セルバ家に改めて迎えを出した方が良いかどうかを思案していた。と、道の向こうから見覚えのある馬車がこちらに向かって走ってくる。どうやら改めてという必要はなかったようだった。

その馬車は出張所の前に横づけされ、扉が開かれてブルーノとロイスが降りてきた。

「わざわざお越しいただき申し訳ありません」

「いや、これも仕事だからね。ダンジョンのことなんだろう? 駆けつけさせてもらったよ」

セルバ家にとっても肝いりとなる事業だ。そこは頭首自ら会議に出席して意気込みを見せることにしたのだろう。

こちらへ、とブルーノを会議室に案内する。室内にいたアドルフォやクリスト達も立ち上がってそれを出迎えた。

「待たせてしまってすまないね。あいさつはいらないよ、会議を始めようか」

ブルーノの宣言で全員が席に着き、代表してモニカが司会に立った。


「わざわざお越しいただきありがとうございます。ダンジョンの5階までの調査が終わりまして、今後のことをお話したいと考えお呼びいたしました」

「ああ、5階まで終わったんだね。そうするとこれで調査は終了にして公開に向けて動くということになるのかな?」

調査が終われば当然次は公開だ。ブルーノの言うことは正しいのだが、その前にやりたいことがあった。

「まだ5階と、それから6階の調査の報告がまだでしたね。こちらが収集物の一覧です。ご覧ください」

差し出した資料には5階と6階で獲得した魔石や宝石やスクロールや、その他さまざまな魔道具についての記載があった。

「おい、これはちょっと、どうするんだ。俺にはとても扱えないぞ」

「分かりません。支部長の判断でお願いします」

「いやおまえ、これはさすがに」

アドルフォがこそこそとモニカに言ってくるが、このダンジョンは今のところ支部のが管理者だ。支部長であるアドルフォが決めるしかないのだ。

「私は物を知らないのですまないが、これはだいぶ、何というか、すごい物が出ているのではないかな」

「そうですね。ちょっとどうすれば良いか困ってしまうようなものが出てきています。売れる物だけ売って、あとは後ほど検討するしかないでしょう」

モニカが言うように、売れる物だけは売って、扱いに困っている物に関しては相談の上でアドルフォやブルーノが決めていくしかないのだ。

「しかし、これだけの物が出るとなると、5階までで十分だという気持ちにはなるね。いやすごいな」

「そうですな。5階以降は自己責任ということで公開は可能でしょう。まず発見情報を公開し、それからにはなりますが、その方向でよろしいですか?」

問いかけにブルーノが答えようとした先を制して、モニカが続きを話し始めた。

「今はまだお待ちください。そこに6階とありますように調査は6階まで入っていまして、そこで発見されたものに問題があります。その取り扱いも含めて今後のことを相談したいのです」

「ああ、確かに6階の結果が含まれているね。そこで発見されたものというのは? 書いていないものだよね?」

「はい。えー、少々、というのは語弊がありますね、正直、大問題だと思っています。内容の方は、クリスト様、よろしいですか?」

モニカから紹介されてクリストが立ち上がる。一応発見した当人なのだ。ここは自分の口から説明するしかなかった。

「えー、言葉遣いはご容赦を。俺たちが6階で発見したものですが、ダンジョンの外側、壁の向こう側です。俺たちはそこが恐らく10階だろうと判断しました」

うん? という表情をしたのはアドルフォとブルーノがともにだった。ダンジョンの外側というのがまず分からない。一体何の話なのか。

「外側と言われても分からないでしょう。6階に下りると壁がガラスになっている場所に出まして、そこでガラス越しに向こう側が見えたのです。広かったですよ。広すぎた。一つの国があると言ってもいいくらいの広さだった。山があり、森があり、海だか湖だかがあり、町が有り、城があり。果てが見えていなかった。俺たちはあれを、冒険の書にあるような地下世界だろうと判断しました。10階に下りた先には恐らくあれがある。ドラゴンがいて、マンティコアがいて、グリフォンがいて、それ以外にも見たことのない魔物がいて。相当なものですよ。10階が最深部だとしても、その先が広すぎる。で、6階ではそれ以外にメモを発見しまして、一応訳したものを用意してあります。これですね、どうぞ。これがね、恐らく10階の先にある場所の話なんじゃないかと考えられまして」

そこまで一気に話して、メモの写しを渡すとそこで2人の反応を待った。

モニカもまた2人の表情をうかがっている。

向こう側の世界の話、そしてメモの内容。これが問題だった。


「ダンジョンの壁の向こう側? 国ほどの広さ? 何を言っているのか分からないな‥‥それにこのメモは‥‥」

ブルーノの感想はもっともなものだろう。モニカもにわかには信じられないと言っていたのだ。アドルフォは頬づえを付いてメモをにらんでいた。

「上を目指す、下へ戻る、イスは失われた、城の上にドラゴンが見える、故郷の町は森に埋もれて見えない。‥‥祝福、か」

「そのメモは6階にあって、もう一度行けば本物が見られますよ。そして6階に行けば俺たちが見たダンジョンの向こう側ってのも見られる。その2つを組み合わせるとね、信じるしかないというか」

「気持ちは分からんでもないが、な」

「俺たちもね、言いたいことは分からなくはないんですよ。幻でも見たんじゃないかとか、このメモもだますためのものなんじゃないかとかね。ただね、これまでも度々このダンジョンからはおかしなものが見つかっていた。見たことも聞いたこともない、もちろん何の記録にもない地名。今はもう失われて残っていないという魔法。その地名はあの場所のことで、そこがはるか昔に地下に封じられたのなら失われた魔法が今も残っている可能性はある。いちいちね、一致するんですよ。見つけたものと、ダンジョンが出してくるものが。だったら確認するしかないんじゃないかってのが俺たちの考えですね」

クリストたちが大規模な詐欺を狙っていると言うこともできる。

調査はこれから困難を極めるがこんなすごいものが見つかる可能性があるから金を出せと言ってくる可能性だってもちろんあるのだ。

「これを信じて10階まで調査を継続させてほしいということかな?」

ブルーノが考えることもまさにそこだろう。今ひとつ状況が見通せなかった。

「そうですね、俺たちは10階を見たい。10階に行きたいんですよ。ただね、5階まではもう問題ないだろうってのも同時に分かっている。だからね、公開のための準備はしてもらって構わない。6階から先は自己責任でも構わない。ただ俺たちにこのまま10階まで進ませてほしい。それでね、必要なものを売ってほしいってことと、あとは現地で発見した使えるものは使いたいってことですね」

「うん? 売ってほしい?」

ここで話が変わってくる。自己責任で、費用も全部自分たち持ちで、ただ先に進ませてほしいという話になってしまう。

「そうですね、鑑定スクロール、あれが欲しいんですよ。それとね、今まで使わせてもらっていた道具だとか保存食だとか、ああいうものも欲しい。どう考えてもあった方が便利だ。あの辺も売ってもらえるのなら買いますよ。もちろん発見して使わなかったものはギルドに引き渡す、そういう形で継続できないかって話をしたいんですよ」

「ああ、なるほどな。今までの契約だと全部引き渡しだからそれが困るってことか。分かった、ようやく分かった。発見したものはもちろん報告してくれるんだろう? ふん、俺としては問題ないだろうと思うが、なるほどね、そこまでして行きたいか」

「行きたいね。あれが本当なら行けば見られるはずだ。10階がどうなっているのか、この目で真っ先に見たいのさ」

「分かった分かった。おまえら本当に冒険者だな」

やはりアドルフォは話が早かった。

冒険者であればこの話は通るだろうと考えていたが、やはりだ。

問題はそうするとブルーノ、セルバ家の判断ということになる。うーんとうなって考えるばかりだ。

「分からんでしょう。正直俺たちも話だけなら信じはしない。そこで一つ提案がある。なあ、6階を見に行かないか。幸い昇降機が使えるからな、俺たちが案内する。6階で向こう側に何があるのか、見に行かないか」

「そう来るか、そうか、おまえ達が鍵を持っているんだったな。魔物は? 1階のラットだけ? そうなのか? 5階6階は? 魔物を見たことがない場所を通る? そんなことができるのか?」

「ダンジョンはあれを見せたいんだと思うぜ。あれを見て、そして早く10階に来いって誘っているように感じるんだよ。なあ、行ってみないか?」

「モニカは、行く気だな? まあ俺も行く気になっているが。こんなもんなあ、地下世界だろ? 俺も読んだぞ冒険の書。確か6巻だったかにあったはずだ。本当なら大発見どころの話じゃない。冒険の書が物語ではなくなるってことだぞ。いやすげえぞ、見たいな。見たいぞ地下世界」

言うたびにアドルフォが興奮していく。さすが元冒険者、今は冒険者ギルドの支部長。この話に興奮するなと言う方が無理があるだろう。

「うーむ、私には理解できない話になってきてしまったな‥‥、すまないがアーシアとも相談してみよう。それで返事で良いだろうか。すまないね、明日また同じ時間でも構わないだろうか。すまないね、また来るよ」

ブルーノは疲れたという顔をして席を立った。やはり信じがたいという思いから離れることはできなかったようで、6階を見に行くということも理解できているかどうか怪しいほどだった。

だがこれで森の別宅にいるアーシアにも話が行くだろう。そうすれば元冒険者だ、地下世界の話は分かってもらえるだろうし、10階に行きたいという思いも、そのためにもまずは6階を皆で見ないかという話も理解してもらえるだろう。全ては明日に持ち越された。

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