第3話すり合わせ

 うちのクラスでは何故か、3時間目終わりにみんなで早弁する。まぁ、中休みと言って3時間目お終わりだけ休み時間が20分あるのだが。


 昼休みは、みんな一緒にお遊戯大会。幼稚園か?


 俺は、御免被る。昼休みは、俺の貴重な睡眠時間なんだ。


「昼休みは、ある場所で熟睡するんだけど、興味ある?」


 俺は、隣の席で突っ伏しているコトノハさんに話かけた。どうも、自己紹介の爆死ぶりにまだへこんでいるようだ。それと、普段からの睡眠不足の影響も見受けられる。


「ありよりのあり、でーすっ☆」


 のわりには、テンション低いな。



「じゃ、昼休みに教室を抜け出そうぜ。一応確認するけど、俺と同じ部屋で眠るの抵抗あったりしない? 寝場所は十分距離を空けて眠れるし、下心もあまりないよ。全然ないと言ったら失礼かもしれないし、どう言ったらいいか分からんけど」


「気を使ってくれて、ありがと☆ 性欲より睡眠欲の方が勝ってるんでしょ?君」



「わかる?」


 この子はすらっとした体型で顔立ちも整っており、地雷系メイクも込みで正直……好みのど真ん中なんだけど、睡眠を削ってまでアタックする情熱はわかないのだ。この子の言うとおり、睡眠欲の方か勝ってる。


 でも。おとといあったばかりの俺への理解度が高すぎて、びっくり。この子、地頭じあたまいいな。多分。



「まぁね。ウチも貞操観念が低いわけじゃないし、体術に自信が無いわけでもないので……襲われたら蹴り潰すけど……マコト君はそんなことしないと確信してる☆」

 

 蹴り潰すって……何を?


 陰陽師って、想像力と創造力が大切。で、詳細に想像してみる。



 ――ヒェェっーーーつつつ!



「信用してくださってるみたいで、何より」

 俺は内心、冷や汗を流しながら答えた。


 思ったより武闘派だ、この子。



「君の睡眠にかける情熱だけは、ね。それに……ここに長時間いるのは、正直きつくて……」 



「だろうね。その件についても、いろいろすり合わせようぜ」  


 霊感の強い人ほど、この空間にいるのは、きついだろう。俺もきつい。結界は張ってあるが。

 きつすぎて、ついつい授業中に眠ってしまうほどだ。いや、霊障が無くても寝るけど。



「助かる☆」  


 昼休みは、貴重な睡眠タイム。だが、コトノハさんに最低限、このクラスでの過ごし方も教授しとかないといけない。あと、このクラスで遊ばないアリバイ作りな。クラスの遊びにつき合うとか、そういう面倒事は、担任……もとい不肖の姉に丸投げだ!

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