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おすすめ第1作 『悪の教典』

大阪府出身、京大経済学部卒、の貴志祐介が書くこの小説は、衝撃的な起承転結をする、ピカレスクロマン小説である。


貴志祐介本人は、推理小説協会会員であったり、SF作家クラブ会員など、様々なジャンルの作品を手掛けており、彼の作品『黒い家』『悪の教典』などはホラー大賞や山田風太郎賞を受賞。そして、それぞれに映画化もされている。また、『新世界より』という小説は、SFアニメーションとして映像化されている。


今回紹介するこの小説、『悪の教典』は、私たちに、このようなメッセージをくれる。『あなたの近くにも、サイコパスはいるかもしれませんよ。気を付けてくださいね!』と。


作品のダークヒーロー蓮実聖司の職業は高校教師。表向きはイケメン英語教師、しかし裏の顔は、『自らの王国を築き上げること。』という目標のために生きている、サイコパスだった。


彼は、持ち前の人懐っこさと、判断力、機転と瞬発力を使って、人間の懐に入り込み、懐柔し、手名付ける。


学校中には、『バグ』と表現される、盗聴器を仕込み、また、自身の持つ部活『英会話スクール部(ES)』や篭絡した女子生徒たち『ハスミン親衛隊』を使って、情報を収集する。邪魔な人物の排除も厭わない。


彼はかつて、アメリカのIBF系の銀行にてトレーダーをしていたが、他の人間に罪を着せて自殺においやろうとした結果、さらに頭の切れるサイコパスに『入国禁止テロリスト』としてブラックリストに載せられるはめになり、帰国を余儀なくされていた。


例えるなら、メガロドンがうようよいる大海(アメリカ)で戦って敗れたホオジロザメが、せいぜいナマズかオオサンショウウオが暴れている川(日本の学校)にやってきたようなもの。それが、高校教師として配属された、蓮実だった。


物語の中には、2010年代当時、問題となっていた、『淫行教師』や『集団カンニング』などの学校トラブルも織り込まれており、現実にあったんじゃないかと錯覚させるものがある。


ちなみに、貴志祐介は、小説を書く際は、結末を決めて、そこから逆算して物語を書いていくというシステムだそうだ。


そうだとしたら、あの凄惨な惨劇の夜を最後に持ってくる、それを持って書ける精神の逞しさに、我々作家は感服せざるを得ない。(サイコパス作品は、書いているうちに病みそうな気がして書ける気がしないのは筆者だけか?)


ちなみに、筆者は、上下巻(小説)を24時間以内に読み切りました。(普段は小説は仕事の休憩時間しか読まないが、読み始めた休憩時間から、その日の寝るまえ、翌日は休日で朝食後から昼食まで、昼食後から夕食まで、そして夕食後から風呂まで、風呂上がりから寝るまでで一気に読み切った。こんなこと珍しい。あ、もしかしたらさらに翌日の午前中に読み切った気もする。)


以上だ。ぜひ読んでくれ。

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