第2話 フミさん
寒くなると肩凝りがきつくなる。
近眼なのもあるけど、パソコン相手の仕事だからだと思う。
目が乾燥するから目薬はかかせない。
経理の仕事だから、ミスは許されない。
会計ソフトがいいのだったらな。
変なところをケチるからやんなっちゃう。
家に帰ると即座にコンタクトを外して、
ホットアイマクスを載せる。
あーーっ、ずんとあったまる。
これをやりながら、マッサージ器で肩凝りを
何とかしようともがく。
血流が悪いんだろな。
最近のZ世代とかって何?
時間になったら、さっさと帰るじゃん。
自分の時間も大切にしたいんです?
私だって、、、。
営業なんて訳わかんない領収書を就業時間ギリギリにどはっと持ってくる。
「お先に失礼しまーす。」って帰ちゃうのよね。
おそるべしZ世代。
結婚しときゃ良かったかなって思うよ。
あんときゃ、他にもっと出逢いがありそって思ったけど。
しまったね。まったく。
「ほたほたや〜〜🎵。
ほ〜〜たぁ〜ほ〜た〜や🎶。」
焼き芋屋さん?
ほっかほっかーってこと?
食べたい!晩御飯食べてない!
私は走ってマンションから出た。
あれ?
三輪自転車?しかも後ろに三角屋根のおもちゃみたいな家がある。
「あのう、焼き芋屋さんですよね?」
「違います。ほたほたやです。」
「焼き芋屋さんじゃない?
あのう、ほたほたやさんって何ですか?」
「うにゃ。私は猫又なんですね。ほら、尻尾を見て下さいな。」
「ネコマタ?知らないですけど、人間なのに尻尾があるんですか?しかも2本も。」
「猫又をご存じありませんか。そうですか。
猫が長生きしますとね、猫又と言う魔物になるんですね。
あ、心配いりませんよ。祟ったりしませんから。うにゃ。」
「へぇーー。猫が長生きしたら魔物になるなんて面白いですねぇ。
ところで、猫又さんは何をしてるんです?」
「うにゃ、ほたほたやです。
あなた、肩凝りがかなり酷いですね。
なら、フミさんがいいでしょう。」
猫又さんは三角屋根のおもちゃみたいな家から
シマシマ柄の猫を抱っこして来た。
「フミさんです。きじとらの猫さんです。
今晩、あなたと一緒に過ごします。
お代はチュール3本です。朝になるとフミさんはドアをカリカリしますから、そしたら帰してあげて下さい。」
「あ、はい。
でも?チュールって何ですか?」
「チュールをご存知ないですか、、。
スーパーでもコンビニでもありますからね。
探してみて下さい。
お代は後からでもかまいませんよ。
ベランダにチュール3本置いて下されば
取りに伺いますから。
ああ、おまけを付けてくださる方もいます。
うにゃ。」
猫又さんはフミさんを私に渡して去って行った。
こんな展開ある?
いい!毎日、同じ事の繰り返しだもん。
こう言うのいい!
ひとりの部屋に帰り、お風呂入って。
肩に湿布を貼ろうとした時、フミさんが
背中に飛び乗った。
フミさんが肩に乗って、手足を使って
踏踏みしてくれた。
そこそこ、きくーーっ。
思わず、ベットにそのまんま寝転んじゃった。
すごい!!
アロママッサージ、バキボキ整体、オンドル、お灸やったけど、違う!!!
からだの中からフミフミ攻撃が浸透してくるわ。
よだれがたれる、、。
ペロペロ。
んあ。ふぁーーーっ。朝か、、。
フミさん!
夢じゃなかったのね。
あら、あら、あらら。肩が軽い。首が動く。
腕もぐるぐるーーーつ。
肩凝りがないってこんなんだったのかぁ。
何年ぶりかしら。
フミさんがカリカリしてる。
ドアを開けるんだったわね。
フミさん、ありがとう。こんなに気持ちいい朝は久しぶり。
じゃあね、気をつけて。
「ふにゃおん。まいどにゃり。」
フミさん!毎度ありって!
くくくくっぅーー。
私だけが聞こえたのよね?
さあ、仕事に行こう。
帰りに、チュールとやらを買って来なきゃ。
ほたほたやさん、また、お願いできるかしら?
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