quarter:2

最終戦——千郷視点

 いや、深夜くんの提案は本当に思いがけなかったなあ。

 まさか「戦いなんかやめようぜ」なんて。

 カッコつけてんじゃねえわ。

 私はため息をつく。

「あのー、深夜さんー……」

 そこまでいって、私は答えられずにいた。風が寒い。吃る私に深夜さんが畳み掛ける。

「話聞いてました?」

「聞いてませんでした」

「えー……じゃあ、もう一回言いますが——僕は元々戦いが嫌いで」

「大丈夫です。私から負けを言います」

「え?」

 困惑する深夜さん。

「あなたは——昔、父親が戦いが好きだった。そいで、負ける父親を見て、戦いを嫌いになって……」

「そうです」

 深夜さんは涙をこぼした。


      * * *


「今日は初出場のカップの初戦。絶対決勝行ってやっかんな!

 あれ……?」

そう言って千郷は写真を手に取る。トロフィーを持って、笑う自分の写真——。

 千郷が笑う。きっとこれは、千里眼によって作り出された、自分の幻なのだ。

 いや、そうなのである。

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千里眼の能力者と覚の能力者のバトル 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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