11 プリセラ、爛れた関係を提案する
「お、またちょっとステータスが上がったし、【身体強化】って剣士とか戦士の使うスキルか。これも会得できたんだな……」
「ん、どうかした?」
プリセラが僕を怪訝そうに見た。
「僕のスキルが発動したんだ。僕と君の各ステータスの数値に+1された。さらに僕は君が持っているスキルの一つをランダムで習得できる」
「ステータスに+1……? つまり、少しだけ強くなったってことよね?」
「うん、それが【アスモデウス】の力なんだ。僕が交わった相手と僕自身を少しだけ強化してくれる――」
説明する僕。
前回、マルグリット先生と交わったときは、行為が終わった直後にスキルが発動したけど、今回は一夜が明けた後だった。
僕とプリセラが行為が終わって、すぐ寝ちゃったから、起きたタイミングで発動した……とかだろうか?
「すごい能力じゃない……!」
プリセラは感動したような顔だ。
「これって、要は君と、その、セッ……クスしたら、した分だけレベルアップできるんでしょ?」
「まあ、そうなるね」
「じゃあ、レベルアップするために、いっぱいシちゃおっか? あたしたち」
プリセラが悪戯っぽく微笑む。
「えっ? えっ?」
僕はドギマギしてしまった。
「だって、君の力は本物じゃない。きっと、これから君の力を目当てに寄ってくる女の子がどんどん出てくると思う」
プリセラの言葉に、僕はうっと言葉を詰まらせる。
僕の能力に魅せられて、寄ってくる女の子――。
本当にそんな女の子たちが現れるんだろうか?
万年Fランクで非モテの僕に。
「だ、だからね……そんな不特定多数と交わるような不純な男になるくらいなら、あたし一人としよ? あたしが……ええと、その、ぜ、全部受け止めてあげるから――」
照れくさいのか、プリセラがはにかんだような笑みを浮かべた。
うっ、その表情、めちゃくちゃ可愛いぞ……!
「……少し、考えさせて」
僕は即答を控えた。
もう少し気持ちを整理したかった。
翌日。
「ねえ、アーロンくんのステータス、全般的に昨日より上がってるんじゃない? ちょっとだけだけど――」
女子生徒の一人が僕を見て、眼鏡をクイッと上げた。
「あたしは【ステータス鑑定】を持っているからね。あたしの目は誤魔化せないわよ?」
ちなみに【鑑定】スキルにも何種類かあり、それぞれに対応したものしか【鑑定】できない。
プリセラの【スキル鑑定】は対象のスキルを分析するものだし、【ステータス鑑定】なら対象のステータスを見ることができる。
「あ、やっぱり! 少しだけどアーロン君の数値が昨日より上がってるわ」
と、彼女が叫んだ。
どうやら勝手に【鑑定】したらしい。
対象の同意なく【鑑定】するのはマナー違反なんだけど、僕がそれを注意する間もなく、
「やっぱり、アーロン君のスキルは本物なの?」
「別のクラスの子が、彼のスキルは『女と仲良くなることでステータスアップさせる』効果があるって言ってたわよ」
うっ、そんなことまで知れ渡ってるのか。
恐るべし、女子のネットワーク……。
「ねえ、私で確かめてみない?」
「やだ、それなら私にしてよ」
「あたし、元カレから名器って言われたことあるよ?」
「あたしあたし、男を喜ばせるテクニックなら任せて!」
うわ、女の子たちが次々に押し寄せてきた。
けど、この状況を見ると、プリセラが心配していたのも、さもありなんだ。
非モテでFランの僕が、こんなふうに女子から迫られまくるなんて――。
「……なんだよ、あいつ」
「くそ、アーロンのくせに」
逆に男子生徒たちは、明らかに僕を白眼視していた。
うう、この空気……なんとかしてほしい……。
ステータスアップというのは、すべての生徒にとって大きな目標だ。
僕らが通う冒険者学園は、結局のところ強い冒険者を生み出すための機関。
そして学生たちの究極の目標は当然、自身が強くなり、一つでも高い冒険者ランクに上がること。
そして将来、冒険者として独り立ちするときには、より高いランクでスタートするためである。
だから『対象をステータスアップさせる力』なんてものを持っている人間がいたら、注目されるのは当たり前だった。
そして、その力の恩恵にあずかろうとする者たちが寄ってくるのも、これまた当然――。
特に女子生徒たちが目の色を変えているのは、僕のスキルの発動トリガーが『性的な事象』だとなんとなく気づいているからだろう。
彼女たちが群がるのは、僕と性的な行為をすれば自分のステータスを上げられるのではないかと推測しているためだ――。
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