10 プリセラが初めてを捧げようと迫ってくる
「だって、あーくんは強くなるために、色んな女の子を抱くつもりでしょ?」
「い、いや、それは――」
「さっきだってクラスの女子たちが君に寄って来てたじゃない。あたしには選り取り見取りの状況に見えたけど?」
なんだかプリセラの態度って、僕を責めてるみたいだな。
たとえるなら『他の女に目移りする彼氏を問い詰める彼女』みたいな……。
まあ、僕に男女交際の経験はないから、実際の彼氏彼女の関係や雰囲気なんて想像することしかできないんだけど。
「でも、あたしとしては誰彼構わずエッチするような男になってほしくないのよ。だから、あたしが体を張る。OK?」
プリセラが身を乗り出した。
「あたしはあーくんを救えるし、あーくんはあたしを抱くことで力を得る。お互いの目的は満たされるじゃない。ね?」
「でも、プリセラはそれでいいの? その……僕とそういうことするの……」
「ん? もしかして、あたしに気を使ってる? 大丈夫よ。あたしは、その……ええと、初めてじゃないし。だから、平気平気」
プリセラが微笑んだ。
気のせいか、ぎこちない笑顔に見える。
「む、むしろ、男性経験豊富なんだからねっ。あーくんをリードして上げられるよ。ね?」
経験豊富、か。
じゃあ、僕一人くらい経験が増えてもいい……のかな?
「さ、あたしとエッチなこと……しよ?」
プリセラが小悪魔じみた笑みを浮かべた。
その艶めかしさに引き寄せられ、押し切られるように――。
僕はプリセラを抱きすくめた。
そして――。
「う……」
まどろみの中、僕の意識は少しずつ明瞭になっていく。
どうやらプリセラと……その、『一線を越えた』後、そのまま寝ちゃってたみたいだ。
彼女も起きたところらしく、ちょうど僕に背を向け、上半身を起こしていた。
カーテンの隙間から朝日がもれ、彼女の裸身を照らしている。
滑らかな肌、豊かな胸、綺麗なうなじ……昨晩、僕はこの体を抱いたのか。
あらためて、ドキドキしてきた。
ずっと幼なじみとして育ってきて、綺麗なお姉さんという思いはあっても、一人の女性として思いを抱いてきたわけじゃない。
そんな相手と、半ば勢いで、半ば相手から強く迫られたからとはいえ、男女の仲に――。
うああああ、僕、なんてことをしちゃったんだろう――!
「ん? 起きてたの、あーくん」
プリセラが振り向く。
たわわな胸が目の前に飛び込んできて、僕は体がカーッと熱くなった。
「あ……や、やだ、ごめんね」
プリセラはハッとした顔で両手で胸を隠した。
「あはは、昨日の晩に全部見られてるけど……やっぱり恥ずかしいね」
「う、うん……」
「……後悔してる? あたしとこうなったこと」
プリセラが僕を見つめた。
「えっ、僕は――」
「あたしは何も後悔してないよ」
プリセラの言葉は力強かった。
「一片の後悔もない。ずっと思ってたの。君に初めてを捧げたい、って」
「プリセラ……?」
「いつか、君にすべてを捧げたい、って。それがやっと叶ったの。だから、あたしは後悔なんてひとかけらもない。喜びと幸せだけを感じてる」
プリセラはそう言って顔を近づけた。
ちゅッと軽く唇同士が触れる。
「あーくんも……あたしと同じ気持ちだったら嬉しいな……って、痛っ……」
ふいにプリセラが顔をしかめた。
「どうしたの……!?」
心配になって彼女を見つめる。
……ん?
そこで、ふと気づいた。
彼女が座っている場所……その近くに小さな赤い点がある。
血のシミ……?
「えっ、まさか――」
「あ、見つかっちゃったか。えへへ、その……実は初めてだったの、あたし」
プリセラは照れくさそうに言った。
「えっ……?」
「処女だったの……だ、だって、経験豊富を装わないと、あたしを抱いてくれなかったでしょ、あーくん。きっと遠慮して」
「あ、当たり前だよ! どうして、僕に初めてを――」
「あーくんだから、だよ。あたしは君と初体験したかったの」
プリセラが僕を見つめる。
――と、そのときだった。
『紋章保持者が女と交わったことでスキル効果が発動します』
『紋章保持者及びプリセラ・ウィンゾード両名の各ステータスが+1されました』
『紋章保持者はプリセラ・ウィンゾードが使用可能なスキルの中から同一のスキルをランダムで一つ習得します』
頭の中で声が響き、目の前に僕のステータスが表示された。
****
名前 アーロン・ゼラ
クラス 魔導師
レベル 3
耐久 31→32
筋力 16→17
敏捷 21→22
知力 46→47
魔力 51→52
スキル
【魔法弾】【シールド】【ヒール】【デッドリィファイア】
【身体強化】←new!!
****
〇読んでくださった方へのお願いm(_ _)m
☆☆☆をポチっと押して★★★にして応援していただけると、とても嬉しいです。
今後の執筆のモチベーションにもつながりますので、ぜひ応援よろしくお願いします~!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます