3 色欲の女魔王に童貞も奪われる
くちゅ、くちゅ、といやらしく唾液の音を鳴らしながら、柔らかな舌が僕の口の中に入ってくる。
前世でも経験したことがないキスを……初めての唇を、まさか魔王に奪われるなんて。
「んんっ……ん、ちゅ……」
驚きながらも、エルメリアの巧みな舌遣いが僕に妖しい興奮を呼び覚ましていく。
正直言うと――こんな状況なのに、僕は勃起していた。
ファーストキスの興奮と巧みな口づけのテクニックが相まって、性欲が沸騰しそうな感じだ。
「なんで、僕は……!?」
今にも殺されそうな状況なのに、あの女に欲情しているんだろう?
頭の片隅で、冷静な自分がそんなふうに分析し、疑問を呈する。
「ふう……」
長いキスを終えると、女魔王はトロンとした目で僕を見ていた。
「ねえ、初めてだった?」
「あ、は、はい……」
思わず敬語でうなずく僕。
「ふふ、可愛い――」
エルメリアは嬉しそうだ。
「あたしのことが恐ろしいんでしょう? 震えているわよ」
「……!」
「けれど――心の芯の部分では、どうにかしてこの状況を打開しようとも考えている。芯の強さを感じるわね」
と、女魔王。
「その強さが本物かどうか、少し試してあげる」
「えっ?」
「あたしは【色欲の魔王】エルメリア。ねえ、あなたの名前は?」
エルメリアが唐突にたずねる。
僕は戸惑ったまま口ごもっていると、
「ねえ、教えて……」
ちゅっと音を立てて、またキスをされた。
さらにしなやか手が、僕の股間をまさぐってくる。
「ううっ……」
妖しい快感で僕の意識が蕩けていく。
「どう? 教えてくれたら、もっと気持ちいいことを教えてあげる――」
「うう、僕の名前は……」
僕は夢見心地のまま、言った。
「アーロン……ゼラ……」
「アーロンくんね。名前さえわかれば儀式可能よ」
「儀式……って……?」
「【色欲の魔王】と交わった者は、その力を得られる――あたしは気に入った者に魔王の力を分け与えているのよ」
次の瞬間、僕の意識は暗転した。
「えっ、ここは――?」
気が付くと、ベッドの上にいた。
豪華な天蓋付きのベッドで、大人が五人くらい寝られそうなほど大きい。
そして僕の側には女魔王エルメリアが腰かけている。
僕に背中を向けたその体は――何も身に付けていなかった。
「あら。気が付いた、アーロンくん?」
女魔王が振り返り、微笑んだ。
「ここは……それに、どうして……あの……」
「ここはあたしが作り出した異空間。誰にも邪魔されず、思う存分に愛し合うための場所――」
言ってエルメリアは僕を抱き寄せた。
そのままスムーズな流れで唇を重ね合わされる。
「どうして、あなたをここに呼んだかと言うと……もう分かるわよね? あたしの体を隅々まで貪り、交わるのよ、アーロンくん。そうすることで魔王の力の一部があなたに与えられる――」
ちゅっ、ちゅっとついばむようなキスを続けながら、エルメリアが説明した。
「要は、あたしを抱いた者は、その力を得られるということ。でも、そんなことは気にせず、あなたはただあたしとの交わりに――その快感だけに没頭すればいいの」
「ま、交わりって……」
「あたしとセックス――するのよ?」
エルメリアはクスクスと笑っている。
一方の僕は呆然としっぱなしだ。
「なんで、僕に――」
「あら、さっきも言ったじゃない。あたしは気に入った者に力を分け与えている、って」
ぷるん、と女魔王のたわわな乳房が艶めかしく揺れた。
ごくりと生唾を飲みこんだ。
母親以外で、生身の女性の裸を見たのは、生まれて初めてだ。
相手が魔王だとか、そんなことはもう関係ない。
湧き上がる欲情はマグマのように沸騰し、僕の理性を焼き溶かしていく。
「さあ、楽しみましょう――」
淫蕩な笑みを浮かべて誘う彼女に夢見心地になり、彼女の柔らかな体が覆いかぶさって来て、そして僕は――。
その日、『女』というものを知った。
****
※4話は今日の昼12時に投稿します!
〇読んでくださった方へのお願いm(_ _)m
☆☆☆をポチっと押して★★★にして応援していただけると、とても嬉しいです。
今後の執筆のモチベーションにもつながりますので、ぜひ応援よろしくお願いします~!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます