第18話

住職は心の中で静かに葛藤していた。弥生時代から来た自分が、今この時代で何をすべきか、その答えを探していた。二人、風と千歌が未来から過去に来てしまったことは偶然ではないと感じていた。彼らもまた、自分と同じように、何か重要な学びを得るべき存在だと心の中で確信していた。


「二人がここに来たのは、ただの偶然ではない。彼らには、未来で必要とされる力を身につけるために、過去で何かを学んでもらう必要がある。」住職はそう思いながら、二人に歴史を変えるような介入をさせることは絶対に避けなければならないと考えた。過去を変えることは未来に計り知れない影響を与えるかもしれない。しかし、学びがなければ彼らは帰れない。どうすればよいのか。


「過去に来た理由がある。私自身がそうだった。過去に戻り、歴史を学び、そしてまた未来に戻る。未来に戻るためには、過去で学ぶことが不可欠だ。」住職は自分の過去の経験を振り返った。弥生時代から来た自分も、過去で得た知識や経験が、未来で自分を支えたことを思い出した。それと同じように、二人にも学ばせなければならないと感じていた。


「だからこそ、二人には時間をかけて学んでもらう必要がある。」住職は決意を固めた。「私は彼らに帰る方法をすぐに教えるべきではない。まずは過去で何を学び、どのように成長するかが大切だ。そして、その学びを元に、未来で活躍できる力を身につけてもらう。」住職は、未来に戻るために必要なのは単なる方法だけではなく、その過程で得た経験だと考えた。


「でも、彼らはまだ子供だ。」住職は少し迷いが生じた。過去の歴史の中で何を学ぶべきか、まだよく理解していないだろう。だからこそ、住職は彼らに優しく教え、学びの場を提供しようと考えていた。「過去に来た以上、学びを深める時間が必要だ。どんな小さなことでも、それが未来に繋がると信じている。」住職は自分の心の中で繰り返し言い聞かせた。


「もしも二人が少しでも歴史に介入してしまったとしても、それが歴史を大きく変えることはないだろう。」住職は、大人としての目線で考えた。子供たちが歴史を動かすほどの力を持っているとは思えなかった。だから、少しぐらいの冒険や遊びも許してあげてもいいと思った。「それに、京都の町の素晴らしさを感じてもらいたい。」住職は微笑みながら、自分の中での矛盾を解消していった。


住職は二人に歴史に触れるチャンスを与え、成長させることが重要だと感じていた。しかし、同時に彼らには自分の足で立ち、学び、そして未来に戻る力を身につけてもらうことが必要だと確信した。


「私が過去から来たように、二人にも過去での経験が未来に繋がることを信じている。」住職は心の中で静かに呟いた。そして、二人がどんな未来に戻るかはまだわからないが、彼らの成長を見守ることができるのは幸せなことだと思った。

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