第14話
風と千歌が江戸時代、京都の京町禅陽日寺にタイムスリップしてきた後、お寺の住職はまず彼らの身なりに驚いた。二人が現代の服装をしていることに気づき、住職はすぐに「これでは町に出ることはできない」と思い、彼らに和服を着せることにした。
住職は、禅寺では通常、僧侶の格好をすることが求められるが、風と千歌はあまりにも子どもであり、また、住職が彼らを家族のように思っているため、あまり堅苦しい格好をさせるのは避けようと考えた。そのため、彼女らには「町娘」の服装を選ぶ。これは京都の町に住む女性が日常的に着ている、シンプルでありながら美しい着物だった。
「好きなものを選んでいいよ」と住職が優しく言って、風と千歌はそれぞれに似合いそうな着物を選んだ。風は淡い色合いの、少し大人びた雰囲気の着物を選び、千歌は華やかな色合いのものを選ぶ。どちらも初めての和服に少し戸惑いながらも、住職の配慮に感謝しながら着替えた。
その後、住職は二人に「ここでは、あなたたちは住職の孫娘ということにしましょう。対外的にはそう言っておくから、安心して過ごしてほしい」と言いった。お寺での生活はもちろん、町の人々とのやり取りもあるため、身分を少し偽ることにしたが、それは二人を守るためでもあった。実際には、小学生である二人は、住職の家族として迎えられることになるのだった。
お寺での生活が始まると、最初は色々と戸惑うことが多い二人。食事を作ったり、掃除をしたりと、日常の仕事はたくさんあり。風は、普段から家の手伝いをしていたのである程度は慣れているものの、千歌は初めての経験に少し困惑した。しかし、住職はやさしく指導し、二人を助けながら生活に慣れさせていった。
「最初は大変だろうけど、少しずつやっていけば大丈夫だよ」と住職が励まし、二人も前向きに生活を始めた。毎日のように、掃除や料理をしながら、京都の町の雰囲気に徐々に馴染んでいく。風と千歌は、ただの異世界の住人ではなく、住職の家族として温かく迎えられ、少しずつお寺の一員としての役割を果たしていくことになった。
住職の柔軟な考えと、彼らへの温かい支援により、二人は少しずつこの江戸時代の生活を受け入れ、成長していくのだった。
しあわせは淡い/京町禅陽日寺橋の町娘の剣 紙の妖精さん @paperfairy
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