第11話
テストの結果が返却される日、クラス中がざわざわとした空気に包まれていた。みんなが一喜一憂している中、風は相変わらず無関心な様子で、机に顔を伏せている。千歌はそんな風を見ながら、テスト用紙を受け取った。
「えっと…、風、すごいじゃん!」千歌は驚きの声を上げる。風のテストの結果が、クラスでナンバーワンだったのだ。
風は少しも驚いた様子を見せず、ただ「まあ、ね。」と無愛想に答える。どうやらテストの成績が良くても、風にとってはそれほど重要なことではないらしい。
千歌はその結果を見て、つい口をとがらせる。「ずるいよ、風!毎回授業中寝てるのに、どうしてそんなにできるの?」
風は少し首をかしげて、「だって、寝てても頭はしっかり働いてるから。」とあっけらかんと言う。
千歌はそれを聞いて、つい「そんなの反則だよ!寝てる間に何してるの?」と笑いながらも本気で不満を漏らす。
風はにっこりと笑って、「ただ頭の中で整理してるだけだよ。」と適当な言葉を返す。
千歌はそれでも納得いかない様子で、「もう、どうして風ってそんなに簡単にできちゃうの?」と少しむっとした顔を見せる。
風は目を閉じながら、「そういうことを気にしてるから、余計に力を入れちゃうんだよ。」と、またぼんやりした口調で答える。
千歌はしばらく風の言葉に考え込み、「本当にずるいな…」と小さく呟きながら、改めて風の成績に感心していた。
結局、風はクラスでナンバーワンの成績を収めたが、千歌の中では「寝てるだけでそんなにできるなんて、ずるすぎる」とちょっとした嫉妬心を抱きながらも、どこか感心してしまっていた。
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