第9話
試合後、部員たちが少し休憩を取っていると、部長が千歌のパソコンの画面に目を向け、興味津々に声をかけた。
「千歌ちゃん、何してるの? この前の試合の分析でもしてるの?」
千歌はにっこりと笑って、「はい、これ見てください」と言って、画面を部長に見せた。画面には、風の打ち込みの瞬間が映し出されていた。
「風の打ち込み、ものすごく速いんですけど、そのタイミングが少し早すぎて、相手に合わせきれてないみたいです。」千歌は落ち着いて説明を続けた。「そのため、攻撃が空回りして防御が薄くなってしまっているんですね。」
部長は真剣な表情で画面をじっと見つめ、千歌の言葉をしっかりと受け止めていた。
「なるほど、攻撃の速さが逆に足りない部分を補えてないんですね。」部長は納得したように頷いた。「間合いを意識しないと、速さだけじゃダメだよね。」
千歌はさらに続けて、「そうですね、間合いの取り方が他の部員とは少し違う感じがします。風は自分のペースで戦おうとしているけれど、剣速は部員の中で一番速いと思います。」
部長は感心した様子で、「それは確かにすごいわ。剣速を活かすには、タイミングと間合いをどうするかが鍵になりそうね。」と言った。
千歌は少し考えてから、「はい、風にはその速さをうまく活かしてもらえるように、タイミングや間合いを調整するよう伝えたいと思っています。」と自信を持って答えた。
部長は微笑んで、「千歌ちゃん、なかなかいい分析ね。私からも風にも伝えておくわ。」と優しく言った。
千歌は照れくさそうに笑って、「ありがとうございます。でも、風がもっと成長するためには私ももっと勉強しないとですね。」と謙虚に答えた。
部長は千歌を見守るような優しい表情で、「そうね、でもその意気込みが大切よ。これからも頼りにしてるわね。」と励ました。
千歌はその言葉をしっかりと受け止め、ますます意欲を燃やして頷いた。
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