第18話 開放

 ――上層階、屋外へ繋がる扉が開かれ、緑髪の美女の死体が転がされた。

 タスマニア・マリア。

 新たな犠牲者である。


 死体の存在に気づいたワイバーンが、上空から降りてくる。

 まずは小型のワイバーンが足を着けた後、遅れて巨体のワイバーンが床を踏み、建物を揺らした。

 死体を観察し、爪を使って引き寄せる。


 喉の奥で鳴らした低い声を合図にしたようだ。周囲にいた小型のワイバーンが次々と死体に群がっていく。元々食べるところが少なかったこともあり、死体はあっという間に骨だけとなった。


 残った骨も噛み砕かれた。

 そのため、黒いローブだけがその場に残る。

 そのローブも、ワイバーンが翼を広げ、羽ばたかせたことで飛んでいってしまった。

 もう取り戻せないほど遠くまで――――。


 そして、もやが晴れたように存在感を示すのは、屋外エリアにあるひとつの梯子だった。


 その上には、一体、なにがある……?



 …第3章につづく

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