第3話

 十五分が経ち、四人は再びゲーム会場に戻った。緊張が再び高まる中、機械音声が冷たく結果を告げる。


「Aチーム、解答正解」


翔太と一真は肩の力を抜き、互いに小さくうなずいた。だが、その喜びは一瞬で、翔太の心は次の瞬間、親友の優斗に向いていた。


「Bチーム、解答…不正解」


 その言葉とともに、優斗と玲奈の立っていた床がゆっくりと開き始めた。


「おい、嘘だろ!!」


 優斗は恐怖に怯え、必死に叫びながら翔太に手を伸ばす。


「翔太、一真!、助けてくれ!」


 翔太も必死に手を伸ばし、涙を浮かべながら叫んだ。


「優斗!俺は…俺はお前を置いていけない!」


 しかし、翔太の手は空を掴むだけで、優斗と玲奈は闇の底へと落ちていった。絶望の中、翔太はその場に崩れ落ち、涙を流し続けた。


「なんでだよおおおお」


「くそおおお」


 翔太と一真は床を叩きつけた。


 その時、コツコツと足音が会場内に響き出した。


「いやー、見事じゃったのー」


 絶望の中、会場に現れたのは、バーの店主だった。彼は無表情ながらも、どこか哀れむように翔太と一真を見つめていた。


「おい、じじい!!なんでだよ」


 翔太は殺戮の目でバーの店主を睨んだ。


「おっかないのー?言ったじゃろ、 チ・ャ・ン・ス があると」


 翔太はその言葉に反応し、力が抜けたように店主を見つめた。


「どういう意味だ…優斗と玲奈は、もう…」


 普段、感情を表に出さない一真にも涙が溢れている。


「君たちには、もう一度”彼らを取り戻すための試練”に挑む選択が与えられる。つまり、選択肢は二つじゃ。このまま出るか、仲間を助けるためにもう一度命をかけるか」


 翔太と一真は即座にうなずいた。うなずく以外どうすることもできなかった。


「お願いします…。優斗と玲奈を取り戻したい。俺たち、命をかけます」


 二人の目には、再び強い決意が宿っていた。


「目を閉じろ」


 バーの店主はそう言った。


 静かに目を閉じた瞬間、意識が遠くなった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る