第13話 音楽室の異変!大喜利で解決する演奏トラブル

ある日の放課後、音楽部の生徒たちが練習をしていると、突然、音楽室のピアノが一人でに鳴り始めるという不思議な出来事が起こった。誰も弾いていないのに、ピアノの鍵盤がひとりでに音を奏で始め、音楽部のメンバーたちは驚いて顔を見合わせた。


「なんでピアノが勝手に鳴ってるの…?」「もしかして、音楽室に幽霊がいるんじゃ…?」


そんな噂が広がり始め、生徒たちは怖がって音楽室から出ていってしまった。翌日、その噂が学校中に広まり、音楽部の部長がどうにかしてこの「謎の演奏トラブル」を解決しようと考え、長内さんに相談することにした。


音楽部長が説明を終えると、長内さんはいつものようにニヤリと笑った。


「なるほど、ピアノの幽霊か。それは面白い話だな!よし、俺の大喜利でこの“幽霊演奏”の謎を解いてみよう!」


部長は驚きつつも、長内さんのユニークな発想に期待を抱き、音楽部員たちとともに大喜利大会を開始することにした。


まず、長内さんは大喜利のお題として「ピアノがひとりでに演奏を始める理由」を生徒たちに投げかけた。


最初の生徒が手を挙げて、冗談めかして答えた。


「もしかしたら、ピアノが寂しくて『誰かに聴いてほしい』って、夜中にひとりでに演奏してるんじゃないですか?」


長内さんは笑顔で「おお、ピアノにも孤独があったんだな!じゃあ、ピアノの気持ちを考えてあげないとな」と答え、生徒たちもクスクス笑った。


次に、別の生徒が発言する。


「もしかして…ピアノが自己主張を始めたんじゃないですか?ずっと伴奏ばかりで主役になれなかったから、ついに『自分も目立ちたい!』って勝手に演奏してるのかも!」


長内さんは感心して、「なるほど、それは面白い発想だ。ピアノもたまにはソロを演奏したいってことか。だったらピアノの気持ちを考えて、今度の発表会で主役にしてやるのもいいかもしれないな!」と返し、生徒たちは大いに盛り上がった。


次の生徒が少し怖がりながらも、興味深い提案をした。


「ピアノの中に小さな妖精が住んでいて、夜になると出てきて勝手に弾いてるとか…?」


長内さんはそのアイデアに目を輝かせ、「おお、それはロマンチックな発想だ!じゃあ、その妖精にお礼として、音楽室にお菓子でも置いてみようか?」と提案した。生徒たちは「それいい!」と、妖精の存在を信じる気持ちになり、さらに場が和んだ。


最後に、音楽部の部長がちょっと恥ずかしそうに提案した。


「もしかして、ピアノは幽霊じゃなくて、音楽の神様が降りてきてくれたのかも…?」


長内さんは驚いたふりをして、「おお、音楽の神様!それなら大歓迎じゃないか。音楽室でみんなの演奏を聴きたくて来てくれたんだな!」と答え、部員たちも「それなら怖くない!」と笑顔で拍手を送った。


その後、長内さんは提案をまとめ、音楽部のメンバーに言った。


「ピアノがひとりでに演奏するなんて、幽霊や妖精、神様と、いろんな理由が考えられるけど、どれも音楽が好きで仕方ない存在が集まってる証拠だな。だから、怖がらずに、もっと楽しんで演奏してやろう!」


音楽部の生徒たちは長内さんの言葉に励まされ、すっかり不安を払拭した。そして、その日の放課後、部員たちはみんなで音楽室に集まり、長内さんが提案したようにピアノに向かって一言。


「これからも一緒に音楽を楽しもうね!」


その後、不思議なことに、ピアノの「ひとりでに鳴る現象」はぴたりと止まった。生徒たちは「きっとピアノがみんなの気持ちを理解してくれたんだ」と信じ、音楽室は再び穏やかな練習場所として戻ってきたのだった。


こうして「音楽室の異変」も長内さんの大喜利と温かな言葉で解決され、音楽部の生徒たちは彼をますます頼りに感じるようになった。生徒たちの中で、長内さんはもはや清掃員を超えた「学校の大喜利探偵」としての存在を確立しつつあった。

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